15FSCW第13号
2015年10月6日


内閣総理大臣 安倍晋三様
TPP担当大臣 甘利明様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子


抗議声明「TPP大筋合意は認められない」


 2015年10月5日、TPP交渉は大筋合意に至ったとの発表があった。次のように多くの問題があるこのような協定を締結することは断じて認められない。私達はこれに抗議するとともに直ちに合意を撤回することを求める。



1)協定内容を一切明らかにすることのない極端な秘密交渉は、国会議員もその内容を知ることなく国民の生存にかかわる問題を政府の大臣や交渉官などに全面的に委ねてしまうものであり、国民の知る権利を侵害する独裁政治に他ならない。これは2013年4月の衆参農林水産委員会決議(国会決議)中の「情報の開示」の項目にも反している。

2)10月5日の閣僚声明、および政府の説明によれば、合意内容に関する日本の譲歩内容は、米の特別輸入枠は米国産米につき年間当初5万トン、豪州米は6000トン、13年目以降には合計7万8400トンまで広げるという。牛肉の関税率も現行の38.5%から最終的に9%に下げる。その他豚肉、小麦、チーズ、カツオ・ベニザケなどにおいても関税引き下げや関税ゼロの輸入枠を設定するなど、大幅な譲歩を行うという。国会決議でも守るとされた「聖域5品目」に手をつけ、日本の農林水産業を破壊し、地域社会の崩壊に繋がるこのような自由化は、ひいては国民の生存を危うくするものであり、市民としても反対する。

3)交渉分野は多岐にわたり、食の安全分野ではSPS協定、TBT協定も含まれている。SPS協定では「必要以上に貿易制限的でない方法でリスク管理を行う」点を強調し、日本の消費者が要求してきた結果得られた食品などに対する厳しい規制基準がこの協定の運用によって甘い国際基準や輸出国の基準にとって代わられることを危惧する。TBT協定においても、各国の規格の策定に関してTPP各国や事業者が関与できる途を開くなど、日本国内の表示基準も消費者の選択権を確保する目的から事業者に有利な基準に緩和されることを恐れる。これについては日米二国間協議や日本政府の自主規制によってすでに実施されているものも多く、さらなる規制緩和は許しがたい。

4)ISD条項がTPP協定に盛り込まれており、投資家の利害が優先され、国家の司法権も侵害されかねない。また各国は強国に遠慮して政策を自己規制しかねない。このような国家主権を侵害する恐れのある協定は異常な契約と言わざるをえない。

5)その他交渉分野には、知的財産権、サービス産業、労働、医療など、国民生活全般にわたるものがあり、日本の産業構造そのものがグローバル企業に都合のよいものになってしまう恐れがある。将来の世代にも悪影響を及ぼすこうした合意内容は認められない。


以上

◆活動報告トップページに戻る