Newsletter No.74

Newsletter No.74

2022年10月24日

目 次
●実効性問われる行政処分 食品ECサイトも問題に…2
●食品表示基準遵守についての申し入れ…………………5
●原料原産地表示の改善を求める意見書提出……6
●中国産アサリ高濃度PFOA検出で自主回収…7
●神山美智子さんのブックレットが完成………8

巻頭言
穏やかな生活は試練の後に
若い頃、歳を重ねるごとの穏やかな生活を、どこかで期待していました。
しかし実際は、ウクライナでの戦争をテレビで視聴するたびに心に爆弾が落とされ、旧統一教会の二世信者の苦難を新聞で読むたびに「宗教虐待」という言葉の重みに打ちひしがれる日々です。一体、政権与党は国会を放り投げて何をしているのでしょうか、歴代首相の「ていねいな説明」はどこに行ったのでしょうか、真っ黒に汚染されたオリンピック、年金の減額、医療費の増額、物価高騰に増税、次第に身近になるリスクの高いデジタル社会。コロナ禍とともにやってきた環境激変を前に、今、私たちには大きな問いが投げかけられています。
「あなたはこのままで良いのですか」。
良いわけは、ありません。消費者行政は消費者の権利を正面から見据えようとしていません。政治は憂国の士を気取った大言壮語の人々の舞台となり、施策は消費生活に必要な細やかな感性から遠のく一方です。
消費者の温和な生活は環境を穏やかにしないと得られません。食の安全と監視の活動は、その一歩であり、時代も場所も問わない世界共通の、すべての出発点ではないでしょうか。(佐野真理子)

10月1日より食品の価格も一斉に値上がりしました。ビールやマヨネーズ、コーヒーなど10月だけでも6000品目以上です。私たちは4月の総会で特別決議の1つに「食料自給力を高め、食料自給率の向上とともに、食の安全、安定を求めます」を採択しましたが、その際心配していたことが起きています。
その原因はコロナ禍とともに、今も続くロシアのウクライナ侵攻などによる世界の生産・流通の混乱にあることはいうまでもありません。IMF(国際通貨基金)も、来年にかけての景気後退の見通しを発表しました(10月11日)。その原因の一つはウクライナ侵攻によるエネルギー・食料の価格高騰による経済危機だとしています。日本国内でも円安の影響が広がり人々の暮らしがおびやかされているのを私たちも実感しています。これはアベノミクスの金融緩和策が依然として続けられていることも影響しているのかもしれません。
行き過ぎた経済のグローバル化や国内の金融財政政策に対してすぐに効く政策を打ち出すのはなかなか困難です。しかし、地域自給を重視すること、私たちの暮らし方を見直すことから始めることはできます。例えば有機農業の拡大、エネルギーを含めた地域自給の向上などによって輸入に頼らない畜産飼料の確保を図り、電力自給の向上を進めることはできるでしょう。
輸入食材による加工食品に依存することを私たちが見直していけば食品添加物の大量摂取や素性のわからない食材を避けることにもつながります。食の安全と国内農業生産を重視する政策にいまこそ転換するときではないでしょうか?
(山浦康明)