加工食品の原料原産地表示の改善を求める意見書

22FSCW第4号
2022年9月30日

消費者庁長官   新井ゆたか様
消費者委員会委員長 後藤巻則様

食の安全・監視市民委員会

共同代表 佐野真理子 山浦康明

(公印省略)

加工食品の原料原産地表示の改善を求める意見書

私たち「食の安全・監視市民委員会」は、市民の立場から、食の安全に関して、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、消費者庁、消費者委員会などに提言を行うとともに、食品関連事業者を監視し、食の安全性と信頼を確立させることを目的として2003年4月に設立した市民団体です。

2017年9月に開始された原料原産地表示の新制度が、今年3月をもって猶予期限が切れ、本格運用となりました。しかし当該制度の導入前から懸念していた問題点が、ますます明白となっています。

現在実施されている原料原産地表示をみると、たとえば、一次原材料の原産地が分からない製造地表示が多く、そのほとんどが「国内製造」となっています。「国内製造」の表示は国産原材料と誤認されやすく、このような表示は、消費者が望んでいたところではありません。

食品表示基準による食品表示を消費者に分かりやすいものとするため、私たちは貴庁と貴委員会に以下のことを求めます。完全実施から日が浅いとは言え、誤認を招くような紛らわしい表示は、できるだけ早期に改善すべきと考えます。要望に関して、意見交換の場を持ち、ご回答をいただければ幸いです。

(1)製造地表示の見直し
原料原産地が分からない製造地表示が大勢を占める現在の状況は、原料原産地表示制度を有名無実なものとしています。特に、「国内製造」の表示は国産原材料と誤認されている可能性も大きいと考えます。製造地表示をする際には、原材料に遡って原料原産地を表示するよう、食品表示基準の改正を求めます。
例) 現行 小麦粉(国内製造)
提案 小麦粉(国内製造:小麦(米国、カナダ))

(2)大括り表示の廃止
3か国以上の外国の産地の原材料が使用されている場合の「輸入」という大括り表示では原産地を表示したことにはなりません。大括り表示を廃止し、3カ国以上から輸入する場合は、原則表示に従い3か国目以降を「その他」とし、「上位2カ国、その他」と表示するよう改正を求めます。
例) 現行 大豆(輸入)
提案 大豆(米国、ブラジル、その他)

(3)中食・外食の表示
中食・外食も原料原産地表示義務化の対象に含めるよう、早急に検討体制を整備してください。

以上

<連絡先> 食の安全・監視市民委員会
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207
Tel:03(5155)4765  Fax:03(5155)4767
E メール:office@fswatch.org