食の安全ウォッチNo.80(2024/04/12)
●三沢基地周辺の新たなPFAS汚染を発見………2
●「あきたこまち」を守ろう!東京集会…………3
●機能性表示食品制度の抜本的見直しを求める…4
●GMOフリーゾーン運動全国交流集会…………6
●新刊PFASブックレットのご案内……………7
●市民委員会定期総会のお知らせ…………………8
巻頭言
紅麹問題が発生
今年1月に紅麹サプリ問題が発覚して、5人もの死者も含め腎疾患の患者も170人以上に及び健康被害が拡大しています。その原因が毒性の強い「プベルル酸」を含んでいたのではないかとの調査も続いています。当市民委員会は政府に対し3月26日に要請書を提出しましたが、機能性表示食品の問題点が改めて明らかになったと言えます。
機能性表示食品とは
健康を願う消費者の気持ちに付け込んで2015年にはじまったこの「機能性表示食品」制度は6800点以上、市場規模も865億円以上に拡大しましたが、国の審査も不要で、企業の責任で効果をうたえるものです。食品メーカーは自社に有利な結果を強調する論文を強調しがちです。医薬的効果をうたえませんが広告では消費者を欺瞞するものが横行しています。この制度は安倍政権下、経済成長戦略の一環として開始されたもので当初から企業の利益拡大を目的としており、消費者保護の視点が不十分だったことによるといえます。
いろいろな健康食品がある
そもそも健康食品には『保健機能食品』の制度があり、国が規制しています。鉄分の摂取を強調するような『栄養機能食品』、「おなかの調子を整える」などとうたい国が審査を行い消費者庁が許可する『特定保健用食品(トクホ)』、そして今回、問題となった「悪玉コレステロールを下げる」などとうたう『機能性表示食品』は消費者庁へ届け出るだけで販売できます。実はそのほかにこうした制度の対象になっていないいわゆるあやしい「健康食品」もたくさん売られています。
私たちは食品安全行政の強化を求めます
当市民委員会は、これまで「トクホ」につき国の審査を強化し、企業の研究内容もきちんとチェックすること、広告をする際には医薬的効果をうたわないこと、ラベル表示や新聞雑誌での宣伝以外でもテレビコマーシャルなども規制することを求めてきました。「機能性表示食品」制度についてはその廃止を求めるとともに、健康食品に対する政府の規制強化と情報の十分な提供を求めてきました。
今回の件で国は、事業者への聞き取り調査、大阪市の回収命令、廃棄命令、厚労省と消費者庁の連絡会議、専門家調査会の開催を行ないました。また国は大阪市と共に工場の立ち入り検査に入っています。あまりに深刻な消費者被害に政府も重い腰を上げたところですが、私たちはこれからも、国に対して、健康食品全般の規制強化、事故情報の追跡調査を実施すること、食品事故が発生した際の事業者の報告義務・公開制度、食品被害者救済制度を求めていきます。
(山浦康明/共同代表)