ブラジル産BSE感染牛に関する公開質問状及び要請書に対する回答(農水省)

食の安全・監視市民委員会
代表  神山美智子様

先般、ご送付いただいた「ブラジル産BSE感染牛に関する公開質問状及び要請書」につきまして、以下のとおり回答させていただきます。

質問事項1)につきまして、ブラジル政府が2012年12月7日に国際獣疫事務局(OIE)に対して行ったBSEの発生通報によれば、次の経緯で当該牛のBSE感染が確認されました。
・当該牛は2010年12月19日に13歳で死亡。検査のためのサンプルを採取した上で、発生農場において埋却
・2011年4月11日に、ブラジル当局の認定検査機関が行った組織検査において、BSE陰性と判定
・2012年6月15 日に、ブラジル国立研究所が行った免疫組織化学検査において、BSE陽性と診断
・2012年12月6日に、サンプルを送付された英国動物衛生獣医研究機闘が行った免疫組織化学検査においても、BSE陽性であると確認
・この経緯を受けて、ブラジル政府は2012年12月7日にBSE牛の確認についてOIEに通報
ブラジル政府は、国立研究所での検査が遅れた主な理由について、9歳以上の死亡牛は、OIEの定める基準におけるBSE検査の優先順位が低かったことによると説明しています。
日本政府は、OIEの公表(日本時間2012年12月8日)を受け、直ちにブラジル産牛肉製品等の輸入を停止しました。

質問事項2)につきまして、動物検疫統計によれば、平成23年度には、世界から合計6741 トンの加熱処理牛肉及び561155 トンの生鮮(未加熱)牛肉が輸入されており、うちブラジルからの輸入量は、1435 トン(加熱処理肉のみ)となっています。ブラジルは口蹄疫の発生国であるため、同国から生鮮(未加熱)牛肉の輸入実績はございません。

質問事項3)につきまして、2010年2月に公表された食品安全委員会の評価書において、「ブラジルから我が国に輸入される牛肉等がBSEプリオンに汚染されている可能性は無視できると考えられる」とされております。また、厚生労働省は、平成16年7月30日以降、BSE非発生国であっても、牛肉製品の輸入に際しては、BSE及びvCJDの原因となる異常プリオンたん白質が蓄積しやすい特定危険部位(SRM)の除去を指導しています。ブラジルでのBSE発生を受け、厚生労働省から輸入業者に対して念のため確認を行いましたが、ブラジルからSRMが輸入された事例は確認されなかったと聞いております。
なお、質問事項1)でもお答えしたように、ブラジルの当該BSE症例牛は、発生農場にて埋却されており、食肉として流通しておりません。

質問事項4)につきまして、農林水産省及び厚生労働省は、現在、ブラジル政府に対して、当該Bs E症例牛等に関する情報の提供を求めているところです。今後、食品安全委員会への諮問を含めたブラジル産牛肉製品の輸入再開に向けての手続きについては、厚生労働省が担当しています。
また、OIEによれば、OIEのBSEリスクステータスは総合的なリスク評価に基づいて決定されるものであるため、BSE感染牛が1頭発見されたとしても、自動的に現行のステータスが取り消されることにはならない、と聞いています。なお、OIEは、ブラジルでのBSE発生に関して、今年2月のOIEの科学委員会で議論を行う予定であると聞いています。
最後に、質問事項2)でも触れていますが、日本に輸入される加熱処理牛肉及び生鮮牛肉について、動物検疫統計における輸入量をご紹介します。平成23年には、561155 トンの生鮮牛肉及び6741 トンの加熱処理牛肉が輸入されています。主な輸入先国別の輸入量とシェアは、別添のとおりとなっておりますので、ご確認ください。

農林水産省は引き続き、BSE等の家畜伝染病の侵入防止等を通じて、圏内の食料の安定供給や畜産業の振興等に寄与して参ります。今後とも、食品関係行政の推進へのご協力をよろしくお願いいたします。

平成25年1月31日
農林水産省消費・安全局
動物衛生課長川島俊郎

別添

生鮮牛肉の輸入量(平成23年)

国名輸入量(トン)シェア(%)
オーストラリア358,48264
アメリカ合衆国136,60824
ニュージーランド33,9116
メキシコ18,2533
力ナダ12,3292
ニカラグア5190
チリ4800
バヌアツ3270
パナマ1590
コスタリカ450
ハンガリー310
ノルウェー90
合計561,155100

出典:動物検疫統計

 

加熱処理牛肉の輸入量(平成23年)

国名輸入量(トン)シェア(%)
中華人民共和国5,16277
ブラジル1,43521 .3
アルゼンチン1432.1
ウルグアイ0.010
タイ0.0010
合計6,741100

出典:動物検疲統計