食の安全ウォッチNo.82(2024/10/23)
●健康食品シンポジウム開催・・・・・・・・・・・・・・・・2
●健康食品規制の抜本的な見直しを・・・・・・・・・4
●健康食品はいらない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
●食品表示問題ネットワーク設立総会・・・・・・・・6
●農薬の水汚染でシンポジウム・・・・・・・・・・・・・・7
巻頭言
石破新政権の誕生は消費者保護を図れるか?
新政権の政策は無内容
自民党・公明党の新政権が誕生し、石破首相は10月4日には所信表明演説を行いましたが内容のない官僚答弁のようで、自民党の総裁選挙でみずからが強調した主張も引っ込めてしまいました。
新政権の政策としては、「外交力と防衛力の強化」による安全保障、「賃上げと投資拡大による成長型経済」などによって国民生活を守る、といったものが並びますが、裏金問題にはふたをし、日米地位協定改定や選択制夫婦別姓制度などへの言及もありませんでした。また食の安全にはまったく触れていません。安倍・菅・岸田各政権で重視された成長戦略を踏襲するばかりでは、今後も健康食品で企業の利益は増大しても国民の健康な生活は事実上犠牲になるでしょう。
消費者庁は消費者の味方か?
厚労省から今年4月に移管された、消費者庁の「遺伝子組換え食品等調査会」ではゲノム編集食品の届け出が促進されています。この調査会の審議の様子は非公開ですが、ゲノム編集された小さな芋がたくさんつくジャガイモ(高小型塊茎数ジャガイモ)の安全性審査が行われ、ゲノム編集は遺伝子組み換えにはあたらない、との見解が踏襲され、安全性審査はまたもや書類審査にとどまり、安全性が安易に確認されてしまいました。これに基づき事業者から届け出もされています。この結果、日本で市場に出せるゲノム編集食品はトマト、マダイ、トラフグ、トウモロコシ、ヒラメなどに続き7つになりました。新政権が誕生しても行政の対応はなんら変わっていないのです。
消費者庁は所管する食品表示問題でも「企業の実行可能性」を重視して消費者目線に立つことはありません。遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品など遺伝子操作食品が表示の義務化もなく市場で拡大していくでしょう。また、輸入された小麦などの出どころを分からなくさせる「国内製造」などというまやかしの原料原産地表示制度により食パンの原料小麦の原産地はわからなくなり、消費者は表示に基づいて選択することができないのです。
消費者のための制度が欲しい!
今年2024年のノーベル経済学賞を受賞したダロン・アセモグル教授らは、社会制度が経済繁栄に大きな影響を与える、と強調しましたが、日本における食品安全制度において、はたして日本の消費者にとって納得のいく社会制度になっているのでしょうか?消費生活を安全で選択の権利を保証するものでなければ豊かにならないと感じます。私たちが実施した総選挙政党アンケートもご覧になり投票によって私たちの制度を求めましょう。
(山浦康明/共同代表)