食の安全ウォッチNo.83(2025/1/29)

●役割を発揮しない消費者庁・消費者委員会・・・2
●何のための調査?消費者庁の消費者調査・・・・・3
●「食料・農業・農村基本計画」改正に注目・・・5
●ゲノム編集魚への公的支援問う院内集会・・・・・7
●GMOフリーゾーン全国交流集会inえひめ・・8
●食品添加物問題研究会をスタートします・・・・・9

巻頭言
課題山積 私たちの声を社会に届けよう
2025年が開けました。不安感まん延の消費生活ですが、今年は昨年より社会が一歩でも良い方向に向かうのでしょうか。そう実感できるよう、私たち消費者・市民団体が大きな成果を得られるよう、頑張っていきたいものです。
昨年は、元旦から非情な能登半島地震が発生しました。東日本大震災をはじめ、被災地・被災者支援は遅々として進んでいません。豪雨などのような災害発生が常態化する中で、消費者被害を複雑にさせるデジタル化や高齢社会、国際化がいっそう進みました。それら暮らしの激動に消費者目線から対応するべき国内の政治リーダーたちは裏金問題に象徴されるような腐敗と理不尽さをさらし、私たちを唖然とさせた年でもありました。消費生活分野で発生した問題はますます深刻となり、それらは、新年に引き継がれ、今年の重大な問題として位置づけられます。

多くの団体と共に改革求め
特に、食品の安全性、表示、取引の問題がいっそう重大化し、政治問題に発展したことは忘れてならないことです。私たちがずっと事故発生の可能性を指摘してきた機能性表示食品による大量消費者事故が起きたことは痛恨の極みです。製造販売者の小林製薬の「紅麹サプリメント」による死亡事故や腎障害の患者が大量に発生しました。台湾では同社の責任を問う消費者訴訟が提起され、国内でも、大阪の弁護士たちが被害の掘り起こしと被害者の支援に立ち上がっています。
政府は対応策を提示しましたが、それら施策には実効性が伴いません。私たち食の安全・監視市民委員会は機能性表示食品の安全性を問題視し、制度の廃止を含む抜本的改革と、食品事故による被害者救済制度の創設などを求める「消費者団体共同声明」を発表し、9団体連携のもと、消費者にとって危険な制度の抜本改革を求めています。
今年は長引く戦争を背景に、ますます深刻となる生活の到来が予想されます。軍事優先が消費生活をむしばみ、すでに、増税が計画され、福祉の後退へとつながっています。それを食い止め、新たな希望を見出せる年にしたいものです。そのために、身近な身の回りの問題、特に、食の安全に信頼を持てるよう、それを実感できるよう、消費者目線からの施策推進を行政に求めていきたいと思います。取り組むべき課題は従来以上に多いことを認識し、今年も精一杯、私たちの声を社会に届け、活動を推進してまいりましょう。 (共同代表 佐野真理子)