健康食品会社の損害賠償責任保険への加入調査アンケート結果

健康食品による被害を救済するために! 健康食品会社の損害賠償責任保険への加入調査アンケート結果

健康食品による健康被害が散発しています。
2017年8月3日に独立行政法人国民生活センターが、「健康食品の摂取により薬物性肝障害を発症することがあります」という注意喚起を発表しました。また7月13日には、女性ホルモン作用のある成分を含む「プエラリア・ミリフィカ」の健康食品で、2年間で200件を超える健康被害が起きていたことが発表されています。健康食品を摂ったことで健康被害をこうむった場合、治療費は誰が負担することになるのでしょうか?医薬品による副作用の事故では、公的な被害救済制度があり、被害者に対して医療費などが給付される仕組みがあります。一方、健康食品にはこのような救済制度がないため、個別に事業者と交渉するか、訴訟で解決するしかないのが現状です。ただ健康食品事業者には零細なところも多く、たとえ訴訟で勝ったとしても、事業者が破産するなど支払い能力がない場合には、治療費や補償金を獲得するのは難しいと言えます。食品全般ついての損害賠償については、食品衛生協会も共済保険を扱っていますが、錠剤やカプセルのようなサプリメント形態の食品は対象外です。しかし民間の事業保険の中には、サプリメントなどの健康食品も対象にした損害賠償責任保険があります。健康食品事業者の信頼性の目安の一つとして、そうした保険に加入しているかどうかは極めて重要な情報になりますが、どの事業者も保険加入について情報を公開していません。
そこで食の安全・監視市民委員会では、2017年下半期、3回にわたり、主な健康食品事業者に対して、保険加入の有無についてアンケート調査を実施しました。
保険に加入していない企業や回答をしなかった企業の健康食品で、いざ健康被害を受けた場合、補償を受けることで困難が予想されます。商品選択の目安にご利用いただけると幸いです。すべての事業者を調査できていませんので、ここに掲載されていない事業者については、個別に問い合わせてみてください。

1)調査第一弾 健康食品売上上位の企業55社へのアンケート結果
調査対象企業の選択
2015年段階での健康食品事業者の売り上げデータを元に、大手55社を選び、保険加入の有無についてアンケート調査を実施した結果が以下のものです。売上で選んだので、国が認める特定保健用食品、機能性表示食品、それ以外の「いわゆる健康食品」のメーカーが混在しています。
(結果概要)
55社中、保険に加入しているという回答があったのは53%にあたる29社でした。
一方保険に加入していないという回答があった5社の中には、大正製薬、森永製菓なども含まれています。また保険加入の有無について情報公表しないという回答があったのが1社で武田薬品工業。回答が無かった企業20社の中には、ディーエイチシーや、理研ビタミン、わかさ生活、やずや、協和発酵バイオなど、健康食品では有名なメーカーも入っています。
(結果一覧)
賠償責任保険に加入していると回答のあった会社(29社以下すべてアイウエオ順で表示)
味の素、アボットジャパン、えがお、かどや製油、カネカ、カルピス、協和、協和発酵バイオ、小林製薬、サン・クロレラ、サンスター、サントリーウエルネス、健やか総本舗亀山堂、世田谷自然食品、日清ファルマ、日本アムウェイ、日本サプリメント、ビー・アップル、ファンケル、ヴェントゥーノ、mimozax、明治、明治ナイスデイ、ヤクルトヘルスフーズ、やずや、八幡物産、山田養蜂場、ユーグレナ、ライオン
加入していないという回答のあった会社(5社)
元気堂本舗(製造委託メーカーが加入)
大共薬品:PL保険には加入しているが、健康食品の健康被害という範疇での損害賠償保険には加入していない
大正製薬:加入していない
はつらつ堂:今後加入を検討
森永製菓:加入していない。
情報非公表又は回答が無かった会社(21社)
アロエ本舗、インシップ、エポラ、エモテント、金氏高麗人参、サニーヘルス、自然食研、武田薬品工業、ディーエイチシー、ニューウエイズジャパン、ニュースキンジャパン、ネクストライ、フジッコ、フレージュ、マイケア、毎日元気、万田発酵、野草酵素、養蜂堂、理研ビタミン、わかさ生活

2)第2弾特定保健用食品の主なメーカー47社
国民生活センターの注意喚起では、特定保健用食品の青汁でも肝障害などの被害が起きています。そこで上記の大手健康食品企業以外の特定保健用食品の事業者47社に対しても保険加入のアンケート調査を実施しました。
調査対象企業の選択
全ての事業者にアンケート調査をすると費用と時間がかかりすぎるため、現在でも販売継続中のトクホの企業202社の内から、すでにアンケート済みの重複分を除去し、当委員会内部で認知度調査に基づき47社を選定しました。
(結果概要)
47社中、保険に加入しているという回答があったのは79%にあたる37社でした。比較するとトクホメーカーの保険加入率は高いと判断されます。保険非加入と言う回答はありませんでしたが、回答が無かった企業には、伊藤園や日本水産などの有名なメーカーも入っています。

賠償責任保険に加入していると回答のあった会社(37社)J-オイルミルズ、アサヒ飲料、イオントップバリュ、市川園、井藤漢方製薬、エーザイ、エバーライフ、エムジーファーマ、塩水港精糖、花王、キッコーマンソイフーズ、キッコーマン食品、キユーピー、キリンビバレッジ、小岩井乳業、サッポロビール、佐藤製薬、三基商事、サントリー食品インターナショナル、白子、全国月の友の会、常盤薬品工業、東洋新薬、日健総本社、日清オイリオグループ、日本クリニック、日本コカ・コーラ、不二製油、松谷化学工業、マルサンアイ、マルハニチロ、マンナンライフ、森永乳業、森下仁丹、ヤクルト、ヤクルト薬品工業、雪印メグミルク
回答が無かった会社(10社)アートネイチャー、伊藤園、小谷穀粉、タケイ、日本メナード化粧品、日本ルナ、日本水産、はぴねすくらぶ、フィブロ製薬、富士産業

3)第3弾機能性表示食品の主なメーカー65社
第3弾として2015年から制度が始まった「機能性表示食品」のメーカーにも調査をしました。機能性表示食品で一番有名なファンケルの「えんきん」で重篤な肝機能障害を受けたという消費者相談が上がっているからです。
調査対象企業の選択全ての事業者にアンケート調査をすると費用と時間がかかりすぎるため、2015年4月~2016年3月までに届出のあった企業107社の内から、すでにアンケート済みの重複分を除去し、当委員会内部で認知度調査に基づき65社を選定しました。
(結果概要)
65社中、保険に加入しているという回答があったのは65%にあたる42社でした。トクホメーカーの保険加入率よりは低いようです。有名企業では、富士フィルムが保険の加入については非公開という回答でした。また回答が無かった企業の中には、江崎グリコ、ダノンジャパン、ハゴロモフーズ、味覚糖等の企業が入っています。
賠償責任保険に加入していると回答のあった会社(42社)愛しとーと、アイフォーレ、安曇野食品工房、アミノアップ化学、SBIアラプロモ、えひめ飲料、大塚製薬、オリヒロプランデュ、オンライフ、カゴメ、カネカユアヘルスケア、キューサイ、協同薬品工業、協和薬品、銀座・トマト、健康家族、甲陽ケミカル、サタケ、サラダコスモ、幸南食糧、資生堂、タイヨーラボ、テレビショッピング研究所、トキワ漢方製薬、ナチュラルガーデン、永倉精麦、日本予防医薬、はくばく、ハマダコンフェクト、ピルボックスジャパン、ファーマフーズ、ファイン、フォーデイズ、富士化学工業、プロント、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、Mizkan Holdings、焼津水産化学工業、リコム、リフレ、龍泉堂、ロート製薬
その他の回答のあった会社(11社)
アラクス:現在健康食品を販売していないので加入していない
ありがとう通販:検討した経緯はあるが、保留としている。
宇治田原製茶場直売部:委託先工場が加入
スギ薬局:製造業者が加入
全日本通教:OEMの製造業者が加入
全日本通販:OEMの製造業者が加入
Nalelu:検討中
日本第一製薬:検討中
富士フイルム:保険の加入に関しては情報非公開
三ヶ日町農業協同組合:PL法第2条1項で一次農産物はPL対象外なので
やまちや:検討中
回答が無かった会社(12社)江崎グリコ、オハヨー乳業、ステップワールド、セラバリューズ、ダノンジャパンはごろもフーズ、備前化成、ブルボン、プログレ、味覚糖、ユニテックメディカルリマックスジャパン