newsletter No.4

No.4

発行 2004年7月1日

 目  次
・第2回食の安全・監視市民委員会総会報告
議事録
見上彪さんの講演をきいて
総会に参加して
・食品安全委員会の動きとFSCWの活動
・トピックス
山崎製パン臭素酸カリウムの使用再開
最近の食の不安の話題2つ
・提言 食品のダイオキシン汚染情報の公開
・カネミ油症被害 人権救済申立の経緯
・食品安全委員会傍聴記
・2004年度FSCW活動方針
・決算報告ほか
・FSCW運営委員紹介
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 会員の皆さま十分ご承知のように、昨年食品安全基本法が成立し、食品安全委員会も発足しました。食品安全基本法には「国民の健康保護が最も重要という基本意識」が明示されているので、「食品安全問題はもう大丈夫」と多くの国民が思いこんでいます。
 しかし世は、レーガン・中曽根路線の1980年代以上の大規制緩和時代なのです。ブッシュ・小泉路線は軍事ばかりでなく、環境保護も食品安全も、すべてなしくずしの規制緩和です。

 厚生労働省は、国際的に広く使用され、安全性がある程度確認されている食品添加物については、事業者からの指定要請がなくても指定していくという方針を決定し、これに基づき46品目の添加物をリストアップし、食品安全委員会に意見を求めています。
 80年代、11品目添加物一挙指定、7品目一挙指定などが起こり、生協などが中心になって、反対署名や日比谷野外音楽堂での1万人反対集会を開いていたことが、まるで夢のようです。46品目も指定されかけているのに、反対どころか、報道すらされないのです。
 こうした厚生労働省の動きに、独立機関である食品安全委員会がストップをかけてくれれば良いのですが、到底期待できません。

 以前も書きましたが、今、ナタマイシンという医薬品にも使用されている抗生物質と、ナイシンという抗菌性物質を、チーズの保存料(添加物)として認めるかどうか、添加物専門調査会で審議されています。耐性菌(抗生物質の効かない菌)が社会問題になっているので、調査会でも耐性菌について議論していますが、「関係する文献も少なく、ナタマイシンによる耐性を論じるほどのデータがない。」「一般的にどのような抗微生物、抗真菌薬も、自然界で変異によって生じる耐性菌を選択する可能性はある。」「ナタマイシンについても上記のことに関しては同じであろう。」「添加物として使用される量のナタマイシンで、耐性菌が選択されたとして、それがヒトの健康に重大な影響を及ぼすかに関しては、現在の知見では『及ぼした』とする報告はみられない。」「使用する場合には、耐性真菌の出現に関する情報の収集に努める必要があろう」などという議論です。また全体に非常に古い資料で、座長自身「え、こんなのでいいのかというようなデータが多い」のだそうです。

 乳等省令には、「乳等は、抗生物質及びその他の化学的合成品たる抗菌性物質を含有してはならない。」という原則だが、食品・添加物の規格基準には「食品は、抗生物質を含有してはならない」という原則が定められています。
 ナタマイシンやナイシンが添加物に指定されると、日常的に人が摂取する食品中に抗生物質が含まれることになるのです。耐性菌出現の情報収集が必要な添加物が必要でしょうか。

 会員の皆さま、本当にこんなことで良いのでしょうか。

(神山 美智子)