newsletter No.59

No.59

2018年12月21日

 目  次

・厚労省の遺伝子組み換え食品等検討会、大半のゲノム編集応用食品を規制せず
・食品香料6物質がアメリカで禁止になった理由とは
・米国産牛肉と日米物品貿易協定(TAG)
・連載・食品と法律(31)「遺言の勧め」
・寄稿「NOでは足りない、もう1つのあべこべは可能だ~市民立法「チェルノブイリ法日本版」条例への挑戦~」
・トピックス①「海洋プラスチック問題緊急会合報告」
・トピックス②「日欧EPAの問題点」
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 消費者委員会食品表示部会では、現在、食品表示の在り方を検討中です。

 しかし11月8日に配布された「食品表示の全体像にかかる課題から解決策までの整理」と題する資料では、<原因>「情報過多(表示事項が多すぎる上、消費者に提示される情報が多すぎる)」と記載されているのです。しかも前回11月27日の部会では、「一括表示」に残すものと、外しても良いものの仕分けまで議題に上っています。その前提は、表示事項が多すぎて分かりにくいというアンケート結果によっています。しかしこの結果はアンケートの質問がおかしいからです。

 そもそも日本の表示制度は、食品の真実を隠す役割を果たしています。真実が隠されているので分かりにくいのが最大の原因で、情報過多だから分かりにくいのではありません。

 食品表示法では原則全面表示なのに、表示基準(内閣府令)で例外を定め、消費者庁次長通知で表示免除を定めています。たとえばプリンなどで増粘剤を2種類以上使っていると、「増粘多糖類」と表示してよいのですが、このことばは、事業者の造語だそうです。本当のことを知られたくないほどひどい材料を使っているのでしょうか。また何種類もある「加工デンプン」についても、「化工デンプン」の方が真実を表すという意見もあったそうですが、より分かりにくい「加工デンプン」になったとか。「果糖ぶどう糖液糖」が遺伝子組換えのコーンシロップだと、どれだけの人が知っているでしょうか。

 コーデックス国際表示基準でも、「表示は、消費者を誤認させるものであってはならない」とされています。

 表示面積が小さいから表示事項を減らそうなどという議論は本末転倒です。コンビニで陳列されているドリンク類など、2面にわたり商品名が大きく書かれているのに、「一括表示」は1面のみに押し込められています。一括表示の仕切りの前に、こうした商業主義偏重を議題にするべきです。まず表示面積が商品包装面積のどれくらいの割合を占めているか、重々検討してほしいと思います。

 皆さんもぜひ商品を手にとって、小さい四角の枠の中にいろいろ書かれている「一括表示」を発見してください。

(神山美智子)