newsletter No.63

No.63

2019年12月20日

 目  次

・食と環境の専門委員会報告「食塩中のマイクロプラスチック残留検査を行います」
・私たちはどれだけのマイクロプラスチックを食べているのか?
・深刻化するグリホサート人体汚染、規制を求める動きを!
・日米貿易協定、強行採決される
・連載・食品と法律(34)「食品添加物規制のおさらい」
・米国を変えた母親ゼンさんの全国講演
・「有害化学物質から子どもを守る国際市民セミナー」参加報告
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 先日、1929 年生まれの作曲家矢代秋雄のピアノ三重奏曲を聴く機会がありました。この曲の初演は、1949 年の東京芸術大学の卒業演奏会だったそうです。49 年は昭和で言えば24 年です。矢代は、良く戦争を生き延びて素晴らしい曲を作ってくれたものだと思います。私はこのとき田舎の小学生で、2年前にはカスリン台風の被害を受け、みんな苦しい生活をしていました。その一方、まさか東京でこんな演奏会があったなど、まったく想像すらできませんでした。今になってカルチャーショックを受けています。

 ところで今年令和という元号が決まったとき、梅花の宴で詠われた大伴旅人の歌「わがそのに梅の花散るひさかたの天より雪のながれくるかも」に触れ、決して先行きめでたい歌ではない、梅の花が雪のように散るのだからと書いていた記事を読んだ記憶があります。今、身の丈発言やら桜を見る会問題やら、もはや安倍政権も終わりではないかと思われます。

 時事通信ネット版によると、マルチ商法で破綻したジャパンライフに対し、2014 年、消費者庁が政治的影響を考慮して立ち入り検査の判断を先延ばししたのではないかと報道されています。そしてその翌年、元社長は、桜を見る会に招待されているのです。

 今年、中曽根元首相が亡くなりました。彼は1980 年代から90 年代の規制緩和強化の元凶です。ロン・ヤスなどと喜んでいましたが、レーガン大統領は、カーター政権の政策を一夜にしてひっくり返した、「ミッドナイトレギュレーション」を敢行した人です。現在のトランプ大統領のやり方と同じです。 しかし、80 年代から90 年代は、規制緩和反対の大運動があったのですが、残念ながら今こういう動きはありません。

 世界各地の異常気象もますます悪化しています。グレタさんの怒りの演説にも、日本の政権は心を動かされないようです。
 核廃絶についても同じで、ローマ教皇フランシスコの訴えにすら耳を傾けません。

 でも当然ですね。気候変動も核廃絶も、日本の市民団体がずっと主張してきたことなのに、長年無視され続けてきたのですから。
 本当にこのままでは、梅の花が散り果てるように世の中が終わるのでしょうか。

(神山美智子)