newsletter No.47

No.47

2015年12月21日

 目  次

・連続講座「安全に暮らしていくために」報告
・食の安全とTPP
・遺伝子組み換え鮭とは、何が問題?
・連載:食品と法律(21) 機能性表示食品がダメなわけ
・アクリルアミド減らすために家庭の調理でできること
・トピックス:米国で拡大するNO! GMO市民運動とDARK法案/神奈川県知事へ「未病関連商品の割引販売の見直し」を要望/アクリルアミド低減GMジャガイモ
・FSCW運営委員会報告
・「すべての遺伝子組換え食品に表示を求める」署名提出院内報告会案内

巻頭言

 嫌な時代になりました。安保法制廃案を主張した「ニュース23」の岸井キャスターに対し、全面意見広告が産経新聞と読売新聞に出たとのこと。私はこの二つの新聞をとっていないので、バッシング批判の記事をまず読みました。自民党若手議員の学習会で、ある作家が、広告を止めろとか、沖縄の新聞を潰せと言ったそうですが、同じ発想ですね。

 言論の自由とは、自分と異なる意見をも尊重するというものなのに、政権与党に反対する意見は抹殺しようというのです。こういう動きに対し、本来政府が、言論の自由を守れと言わなくてはならないはずです。

 また、文科省が打ち出した文系学部の廃止も(後で慌てて修正しましたが)、国民に基本的教養は不要、ぐずぐず議論するような学問は不要、すぐ役に立たないものは不要という考え方です。つまり、文句も言わずに黙々と仕事をする技術者だけが大切だということになります。

 12月6日の書評欄に、三好行雄編「漱石文明論集」(岩波文庫)の紹介がありました。漱石は、「理想を高くせよ、敢えて野心を大ならしめよとは云はず、理想なきものの言語動作を見よ、醜陋(しゅうろう)の極なり、理想低き者の挙止容儀を観よ、美なる所なし、理想は見識より出づ、見識は学問より生ず、学問をして人間が上等にならぬ位なら、初から無学で居る方がよし」と書いているそうです。哲学や史学、文学など、すぐに役になちそうもない文系の学問が、人に理想を持たせるのです。文科省は、日本人に理想は要らないと考えているのでしょうか。

 安倍首相が打ち出した、アベノミクス新第三の矢は、「希望を生み出す強い経済GDP600兆円」「夢を紡ぐ子育て支援出生率1.8」「安心につながる社会保障介護離職ゼロ」だとか。一億総活躍社会などという標語のような政策で、担当大臣まで作ってしまいました。正気の沙汰とは思えません。
 以前新聞に掲載された川柳に、「自己陶酔外遊三昧自画自賛」というものがありました。実に見事に実態をついています。
 さまざまな偽装の蔓延、武器輸出。原発再稼働、沖縄の主張無視など、こうした末世のような政治に異を唱えなかったら、それこそ日本の破滅でしょう。

(神山美智子)