熊本県産アサリ産地偽装問題に関する回答(熊本県)

令和4年(2022年)3月7日

食の安全・監視市民委員会 代表 神山美智子様

熊本県知事 蒲島 郁夫

この度のアサリの産地偽装問題では、全国の消費者をはじめ多くの皆様に御心配と御迷惑を おかけしておりますことを、心からお詫び申し上げます。
今回の事案は、県産アサリのみならず、「熊本ブランド」全体への信頼を大きく揺るがす重大 な問題であり、本県が掲げる食料の安全保障を脅かす、まさに「緊急事態」であると認識してお ります。県としても、これまで、産地偽装の根絶に向けた対応が十分にできなかったことを、反 省しなければならないと思っております。
その反省を踏まえ、私は、二度とこのような事案が起きないよう、①産地偽装アサリの一掃、②徹底的な調査・取締り、③純粋な県産アサリの生産・流通の3点に全力で取り組むことを決意 しました。
まず、2月1日には、「熊本県産アサリ緊急出荷停止宣言」を行いました。漁業者の皆様に、約2か月の県産活きアサリの出荷停止に御協力いただいております。これにより、現在、熊本県産を称する偽装アサリは市場から一掃されました。併せて、「産地偽装110番」を開設し、産地偽装に関する情報を全国から集めています。寄せられた情報などに基づき、既に関係機関と連携して、徹底的な調査を進めています。
そして、出荷停止を行っている間に、県産アサリを確実に消費者の皆様にお届けできる仕組みを構築し、県産アサリブランドの再生と「熊本ブランド」の信頼を回復しなければならないと考えております。
このため、学識経験者や消費者団体の代表、弁護士などで構成する「熊本県産アサリブランド再生協議会」を設置し、産地偽装を防止する流通の仕組みづくりや、ブランド力を向上させる取組みについて、御意見や御助言をいただいております。
産地偽装という犯罪を根絶し、4月には「熊本生まれ、熊本育ちの県産アサリ」を、消費者の皆様にしっかりとお届けできるよう、取り組んで参りますので、御理解と御協力をお願いいたします。
頂戴した御質問については、下記のとおり回答いたします。

1 「産地偽装110番」に通報した消費者への調査結果報告及び運用実績公開について
「産地偽装110番」に提供いただいた情報については、それを端緒として、電話聞き取りや現地調査を実施しており、広域事業者や他自治体業者についても、国や他自治体に情報提供を行っています。
「産地偽装110番」に寄せられた情報をもとに調査した内容は、熊本県情報公開条例第7条第3号ア「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」の規定に基づく不開示情報であることから、情報提供者への調査結果の報告は行いません。なお、食品表示法第7条の規定により、指示又は命令を行う場合は公表しています。
また、産地偽装110番の運用実績については、本県ホームページで公表しています。前述のとおり情報提供いただいた方に対して個別の報告は行いませんが、随時、件数や対応の概要等について公表していきます。

2 熊本県産偽装事業者に対する課徴金や罰金制度等の導入検討について
アサリに限らず、食品の流通は、熊本県内のみにとどまらず、県をまたぐなど、全国的な枠組みにおいて取り扱われております。このため、国において食品表示法を制定し、全国統一のルールで運用されているところです。また、産地偽装を行った事業者に対しては、同法に基づき、行政処分や罰則が適用されており、県独自の課徴金等の導入に係る検討は行っておりません。
なお、熊本県では、産地偽装アサリを根絶し、純粋な県産アサリを守り育て、適正に販売・流通していくための本県独自の条例の策定に着手しました。

3 熊本県産農産物、水産物の食品トレーサビリティ制度の導入、充実、強化について
食品トレーサビリティ制度については、国の法律に基づき、牛肉と米について既に導入され、食の安全安心を図る観点からは、「熊本県食の安全安心推進条例」を制定し、監視指導などの取組みを実施してきたところです。
このような中、今般のアサリの産地偽装問題により本県の信頼が揺らぐ事態となりました。このことを重く受け止め、「熊本生まれ熊本育ちの純粋な熊本県産アサリ」を確実に消費者の 皆様に届けるため、本県産アサリ販売店の認証制度創設や、流通の監視体制構築など、産地偽装を抑止する仕組みづくりに取り組んでおります。
そのため、今般、「熊本県産アサリブランド再生協議会」を立ち上げ、消費者団体をはじめとした関係団体等の皆様方からの御意見を伺いながら検討を進めております。

4 「熊本県産アサリブランド適正化協議会(仮称)」の公開審議及び委員の選定について
熊本県では、「熊本県産アサリブランド再生協議会」の第1回会合を2月22日(火)に開催しました。委員には、漁業関係者、販売事業者、学識経験者のほか、消費者団体関係者(熊 本県消費者協会会長)や法曹界関係者(検事御出身の弁護士)の皆様にご就任いただいたほか、オブザーバーとして、農林水産省九州農政局や熊本市役所の職員の方々にもご出席いた だき、専門的見地に基づく忌憚のないご意見を頂きました。
審議について、第1回協議会では、委員御本人又は委員が所属される団体の商取引などに関するご意見をいただく場合があり、その場合、熊本県情報公開条例第7条第3号アの「公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれ」があることから、事務局から協議会へお諮りし、非公開としましたが、議事録をはじめとする協議 会の情報については、随時本県ホームページに掲載しておりますのでご参照ください。
なお、第2回以降の公開・非公開につきましては、改めて協議会にお諮りすることとしています。