機能性表示食品検証資料の公開請求訴訟 一部勝訴 ~非公開の不当性を訴え 控訴へ~

 2022年10月4日、東京地裁は機能性表示食品の事後検証資料の情報公開請求訴について私たち原告の主張を認め、消費者庁に一部公開を命じる判決を出しました。「一部勝訴」の判決です。

判決まで4年半
 この裁判は市販されている機能性表示食品の検証結果の公開を求めたものです。「機能性表示食品事後調査資料の情報公開請求訴訟」として2018年2月、消費者庁を相手取り東京地裁に提訴しました。判決を得るまでに約4年半。弁護団として神山美智子弁護士、中下裕子弁護士、中村晶子弁護士が参加して下さいました。
この間、機能性表示食品制度の運用ガイドラインが改定され、原告側が指摘していたいくつかの問題点の改善も見られました。裁判での原告側主張点が裁判外で少しは反映されたように思えます。
 公開請求したのは消費者庁が実施した機能性表示食品の検証結果の中で、消費者庁が不開示とした商品名や関与成分名などです。機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できるもので消費者庁への届出を前提としています。事業者任せの制度として導入されたため、消費者庁は「事後検証」を実施することにしました。私が公開を求めたのは、機能性表示食品の市販後調査の一環として消費者庁が実施した「事後検証結果」の資料です。

消費者に知らせるべき情報が非公開に
消費者庁は、問題ある機能性表示食品の存在を指摘した概要書を発表していました。ところが、製品名や関与成分名など消費者が商品を特定できる肝心な情報を公開しませんでした。
その理由として消費者庁は「公開すると事業者の利益を害するおそれがある」「公開すると事後検証を実施する職員への外部圧力のおそれがある」「後の監視活動などの施策推進に支障を来す」などを挙げていました。このような公開しない理由を同庁は裁判を通して主張し続けてきました。
 これに対し、原告側は「事後調査結果の公開は消費者の権利確保の大前提」「公開することこそ機能性表示食品制度の信頼性向上や市場の公正性に寄与する」として同庁の姿勢を追及してきました。原告側は「消費者の権利のための裁判」として位置付けてきました。

更なる公開を求め控訴へ
 判決は、ほとんど消費者庁側の主張を認めつつも、消費者には公開されるべき情報があることも指摘し、検査結果について一部公開を消費者庁に求めた内容です。「一部勝訴」を勝ち取りました。それは原告側の要求から見たら、ほんの一部です。それでも情報公開への突破口となる内容です。
 重要な一歩を記した判決ですが、消費者に知らせるべき必要箇所の全面公開を求めてきた私たちの請求にはほど遠いのも事実です。消費者庁が非公開とする理由についても納得できるものではありません。
 そして私たちは10月17日、同判決には不服があるとして東京高裁に控訴しました。

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 11月24日、消費者庁から「行政文書開示決定通知書」が届きました。裁判所が消費者庁に求めた開示部分の開示を決定したとのこと。この段階での開示は異例です。今後もご報告していきたいと思います。(原告 佐野真理子)
※食の安全・監視市民委員会ニュースレター「食の安全ウォッチNo.75」抜粋

最初の開示

今回の開示