「BSE発生国からの牛受精卵の輸入解禁について」意見書

03FSCW第14号
2003年12月26日

内閣府食品安全委員会事務局評価課御中

食の安全・監視市民委員会
代表 神山 美智子

「BSE発生国からの牛受精卵の輸入解禁について」意見書

 11月27日、貴食品安全委員会プリオン専門調査会は、「BSE発生国からの牛受精卵の輸入」に関して、認可を前提にパブリック・コメントを求めました。日本で起きたBSEに関して、すべての感染確認牛について、いまだに原因が分からないままの状態になっており、とても認可する段階にない、といわざるを得ません。にもかかわらず、このような結論に達したことに、本当に食品の安全を考えているのか、疑問に思います。
この間、日本で、牛の肉骨粉を牛に用いることを禁止した後に誕生した若い牛から、相次いでBSEが発生しました。とくに2003年10月に確認された1歳11カ月の感染確認牛の場合、新型のBSEであるとして、注目が集まっています。

英国でも、牛の肉骨粉を飼料に用いることを禁止した96年10月以降に誕生した牛から、BSEが発生し拡大し始めています。11月20日までに確認した数は78頭(内11頭が北アイルランド)にのぼり、今後さらに増加する勢いにあります。
かつて大発生した牛群からの発生は少なく、禁止後に何らかの形で残存した汚染飼料を用いたとは思えず、感染源を特定する作業は壁にぶつかっています。

プリオン病は、感染性の病気と、遺伝子の異常による病気の、大きく分けて2種類あります。遺伝性の病気は感染する点に特徴があります。そのため輸入受精卵からの病気の拡大も否定できない状況にあります。また、感染母牛から受精卵へは感染しないという見解も確定したものではありません。

牛のトレーサビリティを義務づけた「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」は、出産以降の追跡可能性を義務づけたものであり、受精卵は範囲に入っておらず、もし受精卵由来のBSE牛が生じたとしても原因不明となる可能性が高くなります。

認可の前にすべきことはたくさんあるはずです。少なくとも、これまでの感染牛の原因を明確にすべきであり、新型のBSEや、英国での新たな事態に対する追究を優先して行うべきです。それら前提となる確認作業を抜きにした、BSE発生国からの牛受精卵の輸入解禁を認めるわけにはいきません。

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