コロナ感染症拡大を受けた食品表示基準の弾力的運用に関する意見書

20FSCW第1号
2020年6月23日
消費者庁長官 伊藤明子様
農林水産大臣 江藤拓様
厚生労働大臣 加藤勝信様
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
コロナ感染症拡大を受けた食品表示基準の弾力的運用に関する意見書
 

私たちは、「コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用」に反対し、撤回するよう求めます。

2020年4月10日、消費者庁及び農林水産省並びに厚生労働省は、各課長連名で、「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の運用について」と題する通知を発しました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が国内外の食料品のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼしつつあることに伴い、食品原材料又は添加物の供給停滞により、原材料等の切替えを検討している食品関連事業者が容器包装の資材変更に即時対応できず生産が滞るなど、食品の生産及び流通の円滑化に支障が生じることが危惧されているとして、安全性に重要な影響を及ぼす事項を除き、容器包装に表記された表示事項と実際に使用されている原材料等、原料原産地、栄養成分の量などの表示事項に齟齬があっても、店内告知、社告、ウエブサイトの掲示等により、情報が適時適切に伝達されている場合は、当分の間取締りをおこなわなくても差し支えない、とするものです。

しかし、店内告知以外の手段では、一般消費者が買い物時に適切な情報を入手することは不可能であることから、社告やウエブサイトの掲示などを容器包装に表記された表示に代わるものとして扱うことは不適切です。
また、本通知に便乗して、一般消費者を欺瞞するような悪質な違反についての取締りを排除するものではないと注記されていますが、取締りを行うべき悪質な表示であるかどうかの判断基準は不明確です。悪質な欺瞞行為を防ぐには、弾力的運用を行う表示について、事業者に対し、消費者庁長官へ届出をさせ、表示内容と実際との齟齬を消費者庁において把握する必要があります。

しかも当分の間とはいつまでかの目安も示されていません。
消費者の知る権利、選択の権利に重大な影響を与える弾力的運用は撤回し、再検討する必要があります。

以上

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