newsletter No.19

No.19

2008年12月12日
 目  次

・食品表示を考える学習会報告
・汚染米問題に関する集会とシンポ報告
・汚染米有識者会議の審議経過
・FSCW活動報告
・連載 やさしい「農」生物学⑭
トピックス ①「日本にGM動物がやって来る」
②「ミバエ照射の問題」
・神山代表がエイボン女性年度賞受賞
・水原事務局長退任のあいさつ

巻頭言

 私は、内閣府の事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議に参加しています。ここにたくさんの参考資料が出されましたが、最も驚いたのは、事故米売却処理要領でした。そこには、極力主食用に売るよう書かれていたのです。事故米は、国産の政府備蓄米やMA(ミニマムアクセス)米などで、本来袋破れや水濡れ米などです。

 しかし事故米の中には、今回問題になったように、カビの生えたもの、カビ毒に汚染されたもの、残留基準を超える農薬が残留しているものなど、食用にできないものもあります。こうした事故米穀(と農水省は呼んでいます)と食べられる事故米の処理要領が一緒で、事故の程度、処理方針などは、全部地方農政事務所長に委ねられており、判断の基準も示されていませんでした。

 カドミウムが0.1ppm~1ppm残留している米を農水省は買い上げ、着色・破砕して非食用に販売していますが、この米は食品衛生法違反(基準値は1ppm)ではないから食用に転用されるおそれがあるとして、こうした処理をしています。また食用のMA米は、米農家を圧迫しないよう、破砕して味噌などの加工用に販売しています。

 ところがところが、事故米穀は着色も破砕もされていませんでした。この米は食品衛生法違反なので、食用に転用されることはないと判断したのだそうです。

 三笠フーズは米販売届出業者であり、食用のMA米も買っていたのです。そこに事故米を丸米のまま売却すれば、食用に転用されるおそれがあることなど、子どもにも分かることです。

 今農水省はBSEの教訓が生かされていないとして、組織と意識改革に取り組んでいるそうですが、重大なミスを犯した公務員の個人責任追及がなされない限り、危機意識は出てこないだろうと思います。少し前に、『週刊金曜日』で引用されていた「もともと危機を作り出した人間やそれと同じ考えでは危機解決は不可能である」というアインシュタインの言葉を読みました。

(神山美智子)