newsletter No.29

No.29

2011年6月30日

 目  次
・第9回食の安全・監視市民委員会総会報告
 総会議事録
 講演報告「残飯市場と化した日本」
 2010年度活動報告・決算報告・監査報告
 2011年度活動方針・予算
 特別決議「原発依存でっは食の安全は守れない」
・緊急投稿「福島第一原発過酷事故で見えた日本の『大本営発表』体質」
・連載/食品と法律(8)「食品と放射能汚染」
・照射食品反対連絡会の運動報告「リーフレットを発行しました」
・台日油症健康介護セミナーに招かれて
・FSCWの活動と食品安全委員会の動き
・トピックス(1)期待はずれの米トレーサビリティ法
 トピックス(2)原料原産地表示の拡大は必要
・運営委員会自己紹介
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 3月11日に発生した東日本大震災と東京電力原発事故以来、世界がひっくり返ってしまいました。薄いガラス板の上に立っているようなおぼつかない状態です。何が本当で、誰が正しいのか、どうすれば良いのかすら分かりません。

 原発のメルトダウンと爆発により、広範囲に放射能が飛び散り、空気、水、土、牧草、野菜やお茶から魚まで汚染されてしまいました。

 食品安全委員会が3月に公表した緊急とりまとめには、「国民の健康保護が最も重要であるという基本的認識の下、」国際放射線防護委員会(ICRP)の情報を中心に検討を行ったと書いてありますが、ICRPの「経済的及び社会的考慮を行った上で合理的に達成可能な限り低く維持する」との勧告も引用しているのです。国民の健康保護のため、公平中立に科学的リスク評価をするはずの食品安全委員会が、経済的社会的考慮などをするのはおかしいと思います。

 食品安全委員会は、ICRPの報告で示されている実効線量として「年間10mSvという値について、緊急時にこれに基づきリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠も見出せない。」として、ヨウ素2、セシウム(ストロンチウムを含む)5、ウラン5、プルトニウム5(単位mSv/年)としました。計算してみると合計17mSv/年になり、10mSv/年を超えてしまうのですが、読み方が間違っているでしょうか。

 これに文部科学省の20mSv/年(1mSv/年を目指すとは言っていますが)を足すと、最大37mSv/年にもなってしまいます。さらに環境省が海水浴場の規制値を決めると言っていますが、なぜこんなにバラバラに規制するのでしょう。トータルとしての緊急時の我慢量を定め、これを外部被ばくと内部被ばくに振り分け、さらに水・野菜・魚などごとに規制値を決めるべきではないでしょうか。

 大人も子どもも毎日空気を吸い、水を飲み、食物を食べ、校庭や公園で遊び、森で憩い、砂浜にはらばい、草原に寝転ぶのです。どの放射能がどこからなど、身体に区別できるはずがありません

(神山美智子)