newsletter No.34

No.34

2012年9月25日

 目  次

・消費者庁・食品表示一元化報告書の問題点
・8.28緊急院内学習会報告「消費者が求める食品表示」
・食の安全・市民ホットライン発足2周年書籍出版記念シンポジウムのご案内
・照射レバ刺しから放射線が出る! レバーへの放射線照射を止めよう
・内部被曝問題のホット情報
・連載/食品と法律(12)
・FSCWの活動と食品安全委員会の動き
・違法流通した遺伝子組み換え食品添加物
・連載/やさしい「農」生物学(27)
・「食の安全・市民ホットライン」活動報告
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 9月5日、食品安全委員会プリオン専門調査会から、国内措置と国境措置についての評価が出されました。
 予想どおり、現在の牛の検査対象月齢20カ月月を30カ月に引き上げるものでした。またSRM(特定危険部位)も頭部(扁桃を除く。)、せき髄及びせき柱について、全月齢から30カ月齢超にしました。
 どちらも、「リスクの差は、あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」というものです。

 無視する権利があるのは牛肉を食べる消費者であって、食品安全委員会ではありません。 
 しかしそれより腹立たしいのは、厚生労働省からの諮問が虚偽の前提に基づくものである点です。この諮問が、TPP交渉に入りたい野田首相のオバマ大統領に対する約束の実現のためであることは誰もが知っています。

 ところが諮問書では、「諮問の背景及び趣旨」として、①BSE対策を開始してから10年が経過するので、最新の科学的知見に基づき再評価を行うことが必要 ②前回の食品安全委員会の評価から国内措置について6年が経過し、現在のリスクに応じた対策の見直しの検討が必要 ③国境措置についても、米国産及びカナダ産の牛肉等については、前回のリスク評価から6年が経過し、現在のリスクに応じた対策の見直し検討が必要 ④再評価に当たっては、欧州連合が近年、対策の見直しを行っていることを考慮 ⑤OIE基準より高い水準の措置を維持する場合には科学的な正当性を明確化する必要がある。としています。

 具体的な諮問内容としては、ア)検査対象月齢を現行の「20カ月齢」から「30カ月齢」とした場合のリスクを比較 イ)SRMの範囲 頭部(扁桃除く。)、せき髄及びせき柱について、現行の「全月齢」から「30カ月齢超」に変更した場合のリスクを比較となっています。
 そして今後の方針として、評価の結果を踏まえて、必要な管理措置の見直しを行うとしています。

 こういう真意を隠す技術にたけた官僚がいることは、なんだか情けない限りです。この人たちにも心はあると思うので、こんな心を殺す仕事をしていたら、それこそ健康に良くないのではないかと同情してしまいそうです。

(神山美智子)