参議院選挙政党アンケート

食の安全・監視市民委員会は、参議院選挙にあたり、各党に政策アンケートを送りました。アンケート項目は以下の5点です。投票の参考にしてください。

1.ゲノム編集食品について
2.遺伝子組み換え食品の表示について
3.食品添加物の表示について
4.健康食品の表示について
5.食品のトレーサビリティ制度について

1.ゲノム編集食品について
質問新しい遺伝子操作技術であるゲノム編集技術を応用した食品について、環境省、農林水産省、厚生労働省は、食品安全及び環境影響の審査を行なわず、届出さえも任意として生産・流通を容認し、消費者庁は表示の義務付けをしない決定をし、昨年から国内市場に登場しました。安全性が確立していない食品が流通することは、想定外の有害作用のリスクを消費者に押し付け、環境にも悪影響をたらすものです。
私たちは、ゲノム編集食品の届け出義務化と安全性評価、環境影響評価の実施、食品や種苗への表示の義務付けを求めています。ゲノム編集食品に対する見解を伺います。
自由民主党食品衛生上の安全性を確保する観点から、ゲノム編集技術で得られた食品について、その利用にあたっての手続きを定め、その流通に先立ち、専門家の意見を伺いつつ、問題がないことを確認しています。また、生物多様性を確保する観点から、ゲノム編集技術で得られた生物についても、その利用にあたっての手続を定め、その栽培・流通に先立ち、専門家の意見を伺いつつ、問題がないことを確認しています。現時点では、科学的及び社会的な検証が困難であることから罰則を伴う表示の義務付けを行うことは難しく、事業者に対して積極的な情報提供に努めるよう求めているところです。
公明党ゲノム編集食品については、健康や環境への影響など、国民の皆様からの懸念があることを踏まえ、国としても慎重に対応すべきであると考えます。
特に、狙った遺伝子を切断する技術を用いたゲノム編集食品は、安全性審査が不要となっていますが、ゲノム編集食品の開発者等は、事前に、有害物質を含まないなどの情報を詳細に届け出る必要があります。
こうしたルールに基づき、流通前の段階で、安全性等を厳格に確認すべきと考えます。また、現在は食品表示基準の対象外となっているものの、ゲノム編集食品を扱う事業者が、国民の皆様に対して、積極的に食品表示等も活用しながら、情報発信を行うべきであると考えています。
立憲民主党ゲノム編集技術応用食品は、従来の育種技術を用いたものとの判別が科学的に困難とされており、食品のトレーサビリティ制度が確立していない中、ゲノム編集技術応用食品に対して、食品表示や安全性審査の義務付けを法的に課すことについて、消費者の選択の機会の確保や規制の実効性を担保する観点から更なる検討を進めます。
国民民主党ゲノム編集応用食品については、消費者保護の観点から、その安全審査と表示の義務化を徹底することが必要です。厚労省が届け出制度は罰則なしの任意とし、消費者庁が食品表示は義務化せず、ホームページなどでの任意の情報提供を求めるとしたことは適切ではないと考えます。国民民主党はゲノム編集応用食品であることの表示義務化を法案化します。
日本維新の会消費者の抵抗感を取り除くために、ゲノム編集食品の生産・流通にあたっては正確な情報を消費者に広く知らせることが望ましく、国民に安心・安全をもたらす情報開示のあり方等を積極的に検討していく必要があると考えている。
日本共産党ゲノム編集技術について、食物アレルギーなど食の安全や生態系の影響などの懸念が指摘されており、想定外の遺伝子改変(オフターゲット)のリスクは否定できません。「予防原則」の立場に立って遺伝子組み換え食品と同様に安全性評価、環境影響評価を実施し、表示も義務付けるべきです。有機農産物の認証にあたっては、遺伝子組み換えと同様、ゲノム編集技術も禁止します。
NHK党食品同様に生体内に取り入れる医療用医薬品の開発には多くのプロセスと長い年月が要されます。基礎研究、非臨床試験、臨床試験の結果は論文として公表され、また承認申請時のメーカーとPMDAの質疑応答の議事録である承認審査報告書も公開されています。有効性と安全性を検討したプロセスが公開され、効能効果が承認されます。そして医薬品に関する情報は添付文書によって確認出来るようになっています。承認後も市販後調査が行われ、再審査・再評価制度によって有効性、安全性の確認は継続されます。それと比較するとゲノム編集食品は安全性及び環境影響の審査が行われないことから、その安全性などに対して不安を抱く国民がいることが予想されます。一方、自ら積極的にゲノム編集食品について調べて納得をして摂取する人もいると思います。NHK党は情報公開と説明責任の遂行を重視し、個人の自由を尊重することに重きを置いている政党です。医療用医薬品との比較、党の方針も踏まえて、ゲノム編集食品に関しても可能な限り情報は公開し、製造メーカーとしての見解を説明し、さらにゲノム編集食品であるか否かを表示し、消費者の選択する権利を政府が保護するよう求める動きに賛同します。また、食品安全及び環境影響の審査を行い、食品や種苗への表示の義務化に向けた活発な議論がなされることを期待いたします。
2.遺伝子組み換え食品の表示について
質問消費者庁は2018年に食品表示法に基づく遺伝子組み換え表示制度改正の検討を行いました。多くの消費者・消費者団体は、全ての食品を対象にし、意図せざる混入率を引き下げること等を求めましたが、結局、義務表示は現状維持を決定し、任意表示が変更されただけで不十分な表示制度のままです。
私たちは、消費者の選択に役立っ遺伝子組み換え表示制度の再検討を求めています。遺伝子組み換え食品表示に対する見解を伺います。
自由民主党2019年度に消費者庁で開催された「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」では、10回にわたり、消費者、事業者、生産者及び学識経験者により、表示義務対象品目の拡大や意図せざる混入率の引下げ等について議論がなされ、その結果、義務表示については、現行制度を維持することが適当であると判断されたと承知しており、引き続き、制度の周知・普及に努めたいと考えています。
公明党消費者庁で開催された「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」では、10回にわたり、消費者、事業者、生産者及び学識経験者により、表示義務対象品目の拡大や意図せざる混入率の引下げ等について議論がなされ、その結果、義務表示については、現行制度を維持することが適当であると判断されたものと承知しています。
引き続き、消費者が正しく理解できる表示ルールとしての同制度について、国民に対する周知・普及に努めることが重要だと考えます。
今後は同制度の運用実態の調査を行い、その結果を踏まえた上で、必要に応じた制度の見直しも必要と考えます。
立憲民主党消費者目線で食品表示制度を見直し、遺伝子組み換え食品についての表示制度をさらに適正化し、消費者の「選択」を後押しします。
国民民主党遺伝子組換え表示内容の詳細化、義務化が必要です。安心・安全な農産物・食品の提供体制を確立するため、原料原産地表示の対象を、原則として全ての加工食品に拡大するとともに、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換え食品表示やアレルギー表示、ゲノム編集応用食品表示等、販売の多様化にあわせた表示内容、消費者目線の食品表示制度の実現を進めます。
日本維新の会遺伝子組み換え食品の表示に対する消費者の理解を深めるためには、表示の信頼性を十分に担保しつつ、事業者に過度な負担を生じさせない合理的な表示制度の設計が必要であり、その改善については不断の検討が重要であると考えている。
日本共産党食品の表示は、消費者が商品やサービスを正確に知るための権利であり、とりわけ、食品の安全を求める権利、食品の内容を正確に知る権利、食品選択の自由の権利などを実現していく必要があります。食品の安全性が確保されるとともに、消費者に役立つ表示こそ重要です。
遺伝子組み換え操作を行った食品か否かを消費者が選択するうえで遺伝子組み換え表示は欠かせません。消費者の選択の自由、権利を保障するうえでも遺伝子組み換え農産物やそれを原材料として使用する加工食品については表示すべきです。その立場から現在、義務表示の対象外となっている油やしょう油、糖類なども対象にします。表示範囲を、加工食品で、原材料に遺伝子組み換え農産物が5%以上含まれている場合に限っているのを、引き下げます。また「意図せざる混入率」5%は諸外国とくらべ高すぎるので引き下げます。「遺伝子組み換えでない」と表示できるのを「不検出」に限定するのはやめ、「意図せざる混入率」に合わせるべきだと考えます。
NHK党質問1と同じ回答です。
3.食品添加物の表示について
質問消費者庁は、2020年に食品添加物の表示の改正を行いました。しかし、表示を拡大・充実させようとの方向はまったくありませんでした。現在の添加物表示は、一括名表示、表示免除や省略などの例外を設定しており、消費者を誤認させる恐れがあります。
私たちは原則に戻り、使用した食品添加物を物質名で、全部表示することを求めています。
添加物表示に対する見解を伺います。
自由民主党使用した添加物表示の一部省略については、2019年度に消費庁で開催された「食品添加物表示制度に関する検討会」において、直ちに制度変更するのではなく、詳細を知りたい消費者を対象として、事業者による自主的な情報提供の取組みを推奨することとされました。
今後、食品添加物に係る消費者教育を推進するとともに、消費者委員会食品表示部会における「食品表示の全体像」の議論を踏まえた取組を行うこととしております。
公明党使用した添加物表示の一部省略については、2019年度に消費庁で開催された「食品添加物表示制度に関する検討会」において、議論の結果、直ちに制度変更するのではなく、詳細を知りたい消費者を対象として、事業者による自主的な情報提供の取組みを推奨することになったと承知しています。
今後は、食品添加物に係る消費者教育を推進するとともに、消費者委員会食品表示部会における食品表示の全体像やあり方の議論と検証を踏まえた取組みを行うことが重要と考えます。
立憲民主党安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、すべての加工食品を原料原産地表示の対象とすることを原則とし、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換えやゲノム編集食品、アレルギー表示など、消費者が自ら安心・安全を選択できる食品表示制度となるよう見直しを進めます。
国民民主党食品添加物を物質名で、全部表示することが適切と考えます。使用物質が多数に渡り、商品に表示しきれない場合の対応(メーカーのHP上での公開等)も工夫が必要です。安心・安全な農産物・食品の提供体制を確立するため、原料原産地表示の対象を、原則として全ての加工食品に拡大するとともに、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換え食品表示やアレルギー表示、ゲノム編集応用食品表示等、販売の多様化にあわせた表示内容、消費者目線の食品表示制度の実現を進めます。
日本維新の会消費者に混乱を生じさせている「無添加」「不使用」の表示については、政府が本年度中にガイドラインを策定する方針であり、その議論の行方を注視していく。
日本共産党食品の表示は、消費者が商品やサービスを正確に知るための権利であり、とりわけ、食品の安全を求める権利、食品の内容を正確に知る権利、食品選択の自由の権利などを保障するものです。その立場から、食品添加物の表示は、食品の安全性が確保されるとともに、消費者の選択に役立つ表示こそ重要だと考えます。そのためにも、使用した食品添加物を、物質名ですべて表示するとの提案に賛成です。
NHK党質問1と同じ回答です。
4.健康食品の表示について
質問連日、「健康食品」に関する広告が、インターネット・テレビ・雑誌・チラシ・新聞に溢 れています。その多くが身体的な効果・効能を示唆し、消費者を誤認させる表現で満ちています。中でも機能性表示食品は、消費者庁に定められた書類を届出れば、事業者の責任において、それらの機能を表示できることから、その市場は急拡大しています。
私たちは、機能性表示食品制度に反対するとともに、いわゆる「健康食品」については、食品表示法の規制対象に広告を含めて、規制を強化すべきであると考えています。「健康食品」に対する見解を伺います。
自由民主党機能性表示食品等の保健機能食品を含め、全ての健康食品の広告その他の表示に係る虚偽誇大表示については、食品表示法、景品表示法及び健康増進法に基づき規制されております。機能性表示食品制度については、適切に運用するとともに、消費者庁及び地方自治体における監視指導において、法に違反するおそれのある虚偽誇大表示に接した場合には、法規制の要件と証拠に照らし、厳正に対処することとしております。
公明党食品表示法では、機能性表示食品等を含め食品の容器包装表示を規制しており、機能性表示食品制度については、適切に運用するとともに、厳正に対処するものと承知しています。
また、いわゆる「健康食品」の広告に係る虚偽誇大表示については、他法令において規制されており、法規制の要件と証拠に照らし、厳正に対処することが重要と考えます。
立憲民主党特定保健用食品や機能性表示食品をはじめとする、いわゆる「健康食品」については、消費者による商品の有効性や安全性についての誤認や過信が起こらないよう、科学的根拠に基づく情報公開、表示・広告の適正化等について、消費者委員会専門調査会の議論を踏まえ、制度全体の一体的な見直しを進めます。あわせて、不適切な表示の取り締まりを一層強化します。
国民民主党特定保健用食品や機能性表示食品をはじめとする、「健康食品」については、消費者による特定の有効性や安全性についての誤認や過信が起こらないよう、科学的根拠に基づく情報公開、表示・広告の適正化等について、消費者委員会専門調査会の議論を踏まえ、制度全体の一体的な見直しを進めます。あわせて、不適切な表示の取り締まりを一層強化します。
日本維新の会消費者庁は、消費者に対する啓発活動を一層強化するとともに、各方面から寄せられた疑義情報を活用しつつ、当該商品の安全性、機能性の検証や事後監視に注力すべきである。また、消費者が適切に商品を選択できる環境を整備するために、不適切な表示や広告に対しては、不当景品類及び不当表示防止法や健康増進法に基づく取り締まりを強化していくことが求められる。
日本共産党現在、健康への働きを表示できる保健機能食品には、「機能性表示食品」「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」の3種類があります。「機能性表示食品」は、事業者の届出制ですまされ、安全性を確保する措置や担保がきわめて不十分です。また、「特定保健用食品」でも消費者に著しい誤解を招く広告がなされた例もあります。いわゆる健康食品は、一般の食品と比べてもより安全性が求められます。その「効果」は客観的に検証されるべきであり、消費者の誤解や過信を招くような表示や広告・宣伝は許されません。
コロナ禍で通販やネットでの購入が増えています。広告の表示については消費者に商品が届いてから確認するしかないのが現状です。また、新聞やテレビの広告では、読み取ることさえ困難なきわめて小さな文字であったり、放送でも短時間しかない場合が少なくありません。こうした広告表示についても、消費者に役立つように規制をすべきです。
NHK党医療用医薬品の場合、臨床試験を行い統計的に有意に効果が証明されなければ効能効果は承認されず宣伝することは認められません。適応外の効能について情報提供した場合、訴訟の対象にすらなることも海外では珍しくないと聞いています。ところが健康食品とした場合、その効果が統計的に証明されていなくても消費者に訴求することが出来るため、設問にあるように「消費者を誤認させる」ことに対する危惧には共感いたします。NHK党は基本的に自由を尊重し、規制はなるべく少なくし、政府の介入は極力避けるべきと考えています。しかし、国民の健康と生命を守ることが政治の役割であることも考えますと、機能性表示食品制度の廃止及び「健康食品」関する規制強化へ向けた議論がなされることを期待いたします。
5.食品のトレーサビリティ制度について
質問今年1月に発覚したアサリの産地偽装に見られるように、食品の偽装表示は後を絶ちません。今年4月1日から加工食品の原料原産地表示が完全施行されましたが、その表示ルールは複雑であり、小麦等の「国内製造」など、原材料が国産なのか外国産なのか判断できない例もあります。
私たちはすべての食品を対象に、牛肉やコメと同様にトレーサビリティ(食品供給行程の追跡可能)制度の導入を求めています。「トレーサビリティ制度」に関する見解を伺います。
自由民主党トレーサビリティは、万が一の食品事故の対応や食品表示の信頼性向上に資する有用な取組みです。
しかしながら、食品トレーサビリティの導入をすることで、産地偽装の抑制には副次的な効果はあるものの、制度として義務化することは、品目毎の流通実態や事業者の実行可能性を踏まえて慎重に検討する必要があり、まずは事業者におけるトレーサビリティの自主的な取組みの拡大を推進することとしています。
あわせて、食品表示の厳正な監視の推進を引き続き図ってまいります。
公明党アサリの産地偽装の問題など、国民の皆様の信頼を大きく揺るがす食品の偽装表示は、あってはならない問題であると認識しています。
その上で、食品のトレーサビリティ制度の導入については、食品産業の大半を占める小規模事業者の業務やコストの負担等を考慮しつつ、慎重に検討する必要があると考えています。
公明党としては、食品の安全性や透明性を高める観点から、地方自治体における取り組みも参考にしつつ、食品のトレーサビリティを推進するための体制整備等を進める必要があると考えています。
立憲民主党食品流通の国際化や進展等に伴って、さまざまな食品がわが国の消費者に提供されています。そういった中で消費者が安心して食品を合理的に選択できるよう食品のトレーサビリティの拡大を図ります。
国民民主党安全・安心な農作物・食品の提供体制を確立するため、原料原産地表示の対象を原則として全ての加工食品に拡大するとともに、完全な食品トレーサビリティを担保するために、関連法制の整備を進めます。
日本維新の会食品のトレーサビリティ制度の導入と小売りにおける開示は、消費者保護の観点から重要である。アサリの産地表示の偽装が問題となったが氷山の一角と考えている。わかりやすく、消費者に誤解を与えない制度として導入拡大を促進すべきである。
日本共産党制度の導入に賛成です。食品の適正な原料、原産地表示とあわせ、全ての食品を対象としたトレーサビリティ制度の導入は、消費者が自主的に食品選択をする権利を保障するうえで重要です。あわせて、加工食品などが国産品であることを担保することにもなり、食料自給率を向上させる上からも重要だと考えます。
NHK党NHK党は情報公開と説明責任の遂行を重視し、その内容に虚偽があってはならないと考えています。また、国産食材のブランド保護の観点からもトレーサビリティ制度の導入へ向けた議論がなされることを期待いたします。