Newsletter No.73

Newsletter No.73

2022年6月21日

目 次
●総会記念講演会報告………2
●総会議案……………………4
●参議院選挙政党アンケート…………8

総会開催と役員の改選について
食の安全・監視市民委員会は4月23日に年次総会を開催し、すべての議案を提案通り可決しました。2003年の市民委員会創立以来代表を務められた神山美智子さんが今総会で退任して顧問となり、佐野真理子さんと山浦康明さんが共同代表に選出されました。

4月の総会で共同代表に選出された山浦康明です。総会では特別決議も採択され、その1つが「食料自給力を高め、食料自給率の向上とともに、食の安全、安定を求めます」でした。当委員会の目的の一つは食の安全をめざすことですが、食料自給率もカロリーベースで37%(2022年度)の日本は安定供給の点でも不安だらけです。そしてコロナ禍や4か月にも及ぼうとするロシアのウクライナ侵攻によって、食料を海外に依存することがいかに危ういかを思い知らされました。6月の食料品のあいつぐ値上げはその結果なのです。
日本はWTOルールよりも、自由貿易協定の弱肉強食ルールへ舵をきりました。TPP、RCEP、日米FTA、日欧EPA、そして今度はIPEF(アイペフ=インド太平洋経済枠組み)を進めています。これらはTPPで明らかになったようにあらゆる分野で貿易自由化をすすめるものであり、その範囲はデジタル貿易に及ぶなど、物の貿易を超えて私たちの生活そのものが世界的大企業のもうけの対象になろうとしています。
ウクライナではジェノサイトが続き今後の行方は予断を許しませんが、世界の貿易ルールはこれから再編されていくでしょう。しかし今度こそ、私たち、消費者・市民は平和を求め、食料自立を図り、食の安全を確保するルールをめざすべき時だと思います。
山浦康明(共同代表)

 今年4月から6月にかけて新しい法制度が相次いで施行されました。食品の原料原産地表示の全面実施、健康食品通販で横行する「詐欺的な定期購入」の禁止、食品の取引などにも関連する取引デジタルプラットフォーム法に基づく官民協議会の設置など、消費生活に密接な制度導入が目白押しです。でも、その多くは消費者にとっては不十分、課題が多すぎる内容となっています。
 これら制度は「消費者の権利の尊重」を任務とする消費者庁が関与して成立したものです。それなのになぜ、消費者には不十分、と感じさせるのでしょうか。消費者庁への期待感を強く持ち過ぎる余り、私たちの監視力が弱くなったのでしょうか。それとも行政側の手法が一枚上手と見るべきなのでしょうか。
 あれこれ考えていたら、6月2日、表示の義務付け対象である「特定アレルギー成分」に新たに「くるみ」が追加され、義務表示が八品目になったことが報道されました。でも、事故が多いカシューナッツは未だに「推奨品目」のままです。
 食品表示は正しく、分かりやすいことが前提です。食品への「安心」は安全施策の情報が公開され、それを消費者が納得していることを前提とします。そのような環境がなぜ構築されないのか、今後一つひとつ、取り組んでいければと思います。ご一緒に頑張りましょう。
佐野真理子(共同代表)