適格品リスト記載外の米国産牛肉混入発生に抗議する

06FSCW第10号
2006日消連第43号
2006年11月9日

農林水産大臣 松岡利勝 様
厚生労働大臣 柳沢伯夫 様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子

適格品リスト記載外の米国産牛肉混入発生に抗議する

 11月8日、厚生労働省と農林水産省は米国農務省発行の衛生証明書に記載されていない胸腺1箱が、大阪港に到着した貨物の中に発見された旨の報告を、10月30日に受けていたことを発表しました。
特定危険部位ではないというものの、対日輸出プログラムにおいて輸出品目リストの作成とその遵守は、牛肉の安全性を保障する上で重要視された対策であった筈です。
輸入再々開から3か月余りの今日、しかも米国側の対日輸出プログラムの実施状況を検証する期間であるというこの時期に、このような杜撰な事件が生じたことに強く抗議します。

私たちは、7月27日の輸入再々開決定に際し、「6月24日から7月21日まで米国で行われた日本政府の現地査察は輸入プログラムの遵守を35の施設において形式的に確認しただけであり、しかもそのうち数例からは違反事例が発見されてもいる。これ以外の牛肉生産・加工における問題点もあり、このような現状を改善することこそ日本政府が米国政府に要請すべきである」という声をあげ、米国の施設に対する危惧の念を表明していました。

今回の事件において、10月30日に発覚していたにもにもかかわらず、国内の消費者には1週間以上も発表されておりません。その間米国に対して調査を要請したことは当然の措置として、調査をしなくても明らかなリスト記載なしの胸腺という事実及び貨物の実態、それに対して当該施設からの貨物の輸入手続き保留等の措置を取られたことが、どうして直ちに発表されなかったのか疑問であり、まず米国に窺うような印象を与える貴両省のあり方が国内消費者の不信を募らせることになります。

今回の違反について、「適格品リストに掲載すれば対日輸出可能な品目である」という貴両省の説明は、米国に代わっての言い訳に聞こえますが、日本の消費者からみれば、掲載されていない事実が重大な問題であると感じています。貴両省におかれましては、これが消費者の実態であることを認識されるよう強く申し入れます。