「医薬品の範囲に関する基準」に関する質問状

06FSCW第8号
2006年8月31日

厚生労働省 医薬食品局
局長 福井和夫 様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
日本消費者連盟気付
Tel:03-5155-4765 Fax:03-5155-4767

「無承認無許可医薬品の指導取締について(昭和46年6月1日付薬発第476号
厚生省薬務局長通知)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」に関する質問状

 最近の健康食品の氾らんは目を覆うばかりのひどい状況となっており、中には菓子、飲料水など明らかに食品の形態をとりながら、効能効果を標ぼうしているものもあります。
また、海外で医薬品として用いられた実績があり、上記別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に収載されていない成分を含むものを、健康食品として販売しているケースもあります。
医薬品と食品の区分がますます不明確になっておりますので、この点につき、下記のとおり質問します。
ご多忙中恐縮ですが、9月10日までにご回答ください。

 1.上記リストには、医薬品としての使用実態のある成分や、一定量を超えると医薬品的効果、効能を示す成分もある。医薬品以上の成分を含んでいるにも関わらず健康食品として販売されているものがあり、薬事法との均衡を失すると思われる。
これらにつき、事業者に含有量についての配慮と消費者への情報提供を求めるだけでは不十分で、含有量の上限を定めるべきであると考えられるがいかがか。

2.医薬品と判断する成分本質リスト及び判断しない成分本質リストのいずれにも該当しない成分であって、外国等で医薬品として扱われ、一定の効能効果を有する成分につき、効能効果を標ぼうしないで健康食品として販売しているものはどのように規制されるのか。

3.形態は明らか食品でありながら、効能効果を標ぼうして販売されている食品は、薬事法、食品衛生法及び健康増進法上、どのように扱われているのか。

4.以前の検討会において、上記リスト収載の判定は、誰がどのような根拠に基づいて行うのか公表することになったはずであるが、公表しているか。

以上

「食薬区分リスト」に関する参考資料

公開質問状に対して厚生労働省から「文書での回答はできない」旨の連絡があったため、食の安全・監視市民委員会の代表と委員が2006年10月17日に厚労省に説明を求めに出向きました。その際に厚労省から入手した資料を参考までに掲載します。

平成15年度    医薬品の成分本質に関するワーキンググループ 議事要旨
1 日時  平成16年1月23日(金)10:00~12:40
2 場所  経済産業省別館 920号会議室(9階)
3 出席者
(委員)相見、合田、橋詰  ※上野川委員は欠席
(監視指導・麻薬対策課)大鶴室長、野澤専門官、飯村係長、田中主査
(オブザーバー)新開発食品保健対策室 大曽根専門官
4 会議の公開
○ ワーキンググループの議事は原則として公開とする他、議事概要を公表することとされている。ただし、今回の議事及び資料については、公にすることにより、企業利益を害するおそれがあると判断されるため、非公開とする。
○ 議事要旨及び委員名簿については請求があれば公開する。
5 議事
1)食薬区分リストについて
ア)新規追加品目について
事務局から各成分本質について資料の説明後、質疑等が行われた。
(「専ら医薬品」リストへの新規追加に係る審議)
①チオクト酸 「判断保留」
事務局より概要について次のとおり説明を行った。
・チオクト酸(ラセミ体)の注射剤及びチオクト酸アミド(ラセミ体)の経口剤が医療用医薬品として承認されている。ドイツでも医薬品である。
・食品中に(+)-R体のチオクト酸は含まれており、生体内で補酵素として働いている。
・チオクト酸製剤は、劇薬には指定されていないが皮下投与のLD50値は劇薬に相当する数値である。
・ラセミ体としては、通常の食経験はない。
委員の主な意見は次のとおり。
・光学異性体は、生体内では全く別の機能を示すものと考えるべきである。
・臨床の立場からは、副作用の頻度と程度(グレード)から食品として認められる成分本質かを検討することが重要である。
・次の項目について、確認してから扱いを再度検討することとされた。
○医薬品における副作用の状況(頻度と程度)
○コエンザイムQ10などのすでに食品として認めている成分本質との毒性データの比較
○米国におけるサプリメントでの健康被害等の状況
②2C-Ⅰ 「専ら医薬品」
③脱N-ジメチルシブトラミン 「専ら医薬品」
④ホモシルデナフィル 「専ら医薬品」
(「非医薬品」リストへの新規追加に係る審議)
⑤セイロンテツボク 「判断保留」
委員の主な意見は次のとおり。
・セイロンテツボクの花に関する成分や毒性が不明であるので、判断は「保留」とすべき。
・花、蕾は主に香料として利用されているが、今回の品目の目的を確認すべき。
⑥スルガラン 「非医薬品」
委員の主な意見は次のとおり。
・スルガランは、品種であり、「種」が特定できないのであれば、リストには掲載すべきでない。
・部位は全草ではなく、「球茎」、「葉」、「花」とすべき。
⑦ターミナリア・ベリリカ 「非医薬品」
委員の主な意見は次のとおり。
・部位を「完熟果実」とすべきである。
⑧バアソブ 「非医薬品」
⑨カッパリス・マサイカイ 「非医薬品」
委員の主な意見は次のとおり。
・経口毒性試験の検体は、当該植物の種子そのものであるか確認すること。
⑩カンカニクジュヨウ 「判断保留」
委員の主な意見は次のとおり。
・専ら医薬品であるニクジュヨウと遺伝的に離れている根拠を確認すること。
⑪トウチャ 「非医薬品」
⑫マンゴージンジャー 「非医薬品」
⑬ムラサキフトモモ 「非医薬品」
⑭D-chiro-イノシトール 「非医薬品」
⑮フェルラ酸 「非医薬品」
(「非医薬品」リストへの部位の追加に係る審議)
⑯ザクロ(花) 「非医薬品」
⑰キジツ(花) 「非医薬品」
委員の主な意見は次のとおり。
・既存のリストの名称を含めて、成分本質名を「ダイダイ」とすべきである。
⑱ソバ(茎、葉) 「非医薬品」
委員の主な意見は次のとおり。
・ソバの実ではなく、「葉・茎」であってもソバアレルギーの人に向けて、注意表示をしておく必要がある。
⑲ニガウリ(葉) 「非医薬品」
2)その他
ア)ヒュウガトウキについて
前回の平成14年11月の通知改正時に「専ら医薬品」に追加したヒュウガトウキについて、別名とした「ニホンヤマニンジン」にイヌトウキという別の植物を指す場合があることが判明し、現場に混乱が見られていることから、ヒュウガトウキの別名を「ニホンヤマニンジン」から学名Angelica furcijugaに変更する予定を伝え、了承された。
イ)OTO対策本部決定について
平成15年3月19日のOTO対策本部長決定における「食薬区分の見直し」について概要を説明した。
ウ)今後の予定について
確認事項を整理した後に食薬区分リスト案を公表し、意見を募集する。寄せられた意見をもとに必要があれば再検討を行い、最終的に局長通知とする予定。
「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」委員名簿(平成15年度)
氏  名      所属先・役職
相見  則郎   千葉大学大学院薬学研究院教授
上野川 修一   日本大学生物資源科学部食品科学工学科教授
合田  幸広   国立医薬品食品衛生研究所生薬部長
橋詰  直孝   東邦大学医学部教授
(50音順)