「エコナマヨネーズタイプの安全性審査」に関する食品安全委員会の結論に対する異議申立

2003年9月16日

食品安全委員会
委員長 寺田 雅昭様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山 美智子

「エコナマヨネーズタイプの安全性審査」に関する
貴委員会の結論に対する異議申立

 9月11日、貴委員会は第10回検討会を開催し、厚生労働省からの「エコナマヨネーズタイプの安全性審査に係る食品健康影響評価」に関する意見要請に対し、「厚労省大臣宛ての薬事・食品衛生審議会の答申を妥当とするが、念のために実施される追加二段階試験(発がんプロモーター試験)の結果について、直ちに当委員会にも報告するように」とする「結論」を打ち出されました。これは今後実施される発がんプロモーター試験の結果を待たずにエコナマヨネーズタイプを特定保健用食品として承認しても差し支えないと貴委員会が判断したことを意味しており、消費者の食の不安感を何ら考慮していない納得できない内容となっています。

今回の検討では、当市民委員会が9月9日付けで貴委員会に提出した「申し入れ」も全く省みられませんでした。当市民委員会では、発がんプロモーターの試験データが全部揃ってから、エコナマヨネーズタイプに関する健康影響評価を貴委員会で実施すべきと考え、次の点から貴委員会の「結論」に対する異議を申し立てます。

1.エコナマヨネーズタイプの主成分ジアシルグリセロールについては、発がんを促進させる発がんプロモーターとしての作用が疑われています。3年にわたる厚労省審議会でもその疑いを晴らすことはできず、だからこそ、追加試験がメーカーに要請されました。今、特定保健用食品として認めるのであるなら、追加試験を実施する意義はありません。

2.厚労省薬事・食品衛生審議会の6月16日食品衛生分科会新開発食品調査部会議事録には、メーカーが提出したデータは「発がんを促進させる疑義に対し、それを否定するデータとしては不十分」との専門家の意見も盛り込まれています。消費者だけではなく、毒性学や疫学の専門家も懸念している現状は重大です。にもかかわらず、今回の貴委員会の「結論」はそれに応えていません。

3.現在の特定保健用食品の販売実態から見ると、子どもから高齢者まで、通常の類似食品以上に特定保健用食品を摂取することが予想されます。長期的に、大量に摂取されることになるジアシルグリセロールが含有割合から見て本当に食経験のあるものか、この点に関する健康影響評価(リスク評価)は実施されていないと考えます。

4.今回の「結論」に至る検討過程は食品安全委員会が担うべき食の健康影響評価(リスク評価)やリスクコミュニケーションの観点から見ても極めて不十分です。貴委員会の自立性・独立性・主体性は見られず、厚労省の判断に追従するものです。貴委員会の役割には、「リスクを科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に評価すること」が「リスク評価」として明記されています。何のための食品安全委員会か、当市民委員会は貴委員会の検討のあり方に大きな不信感を覚えます。

以上、当市民委員会は、貴委員会の「結論」は食の安全確保に逆行するものであると考え、二段階発がん試験による安全性データが揃ってからリスク評価を貴委員会が実施するまでエコナマヨネーズタイプの特定保健用食品としての承認は見合わせるよう、異議を申し立てます。

以上

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