食品添加物ナイシンの使用拡大に反対する申入書

2012FSCW第8号
2012年11月2日
厚生労働大臣 三井辨雄様
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
食品添加物ナイシンの使用拡大に反対する申入書
報道によれば、漬物業界は、食品添加物である抗菌性たんぱく質ナイシンAを浅漬けに利用することが認められるよう、全日本漬物協同組合連合会内にナイシン利用推進委員会を設置した、業界の総意として添加物の使用基準拡大を働きかけていくとされています。
食の安全・監視市民委員会は、2007年9月28日、食品安全委員会でのナイシンに関する健康影響評価について意見を述べ、ナイシンによる耐性菌出現の恐れをしてきしました。耐性菌に関する箇所は以下のとおりです。「耐性菌出現のおそれについて
上記1で述べたように、本評価において「現時点で得られている知見から判断して、添加物として適切に使用される場合にあっては、耐性菌出現による医療上の問題を生じる可能性は極めて少ないと考えられる。」「耐性菌出現により有効性等に影響を及ぼすことがないよう十分な配慮が必要と考えられる。」とされ、耐性菌出現のおそれは完全には否定されていない。また「海外における使用経験からも特段問題となる報告はなく」とされているが、海外での使用は「50ヵ国以上で保存料として、チーズ、乳製品、缶詰等に使用されている」に過ぎない。これに対しわが国で指定された場合の使用予定食品は、アイスクリーム類、乳飲料、ホイップクリーム、チーズから、生菓子、フラワーペースト類、洋菓子、ハム、ソーセージ類、たれ、つゆ、ドレッシング、豆腐、卵加工品、味噌、麹、魚介乾製品、魚肉練り製品、いくら、すじこ、たらこ、辛明太子、かずのこ調味加工品となっており、海外50ヵ国の比ではない。日本人が毎日のように摂取する豆腐、味噌、麹、魚介乾製品、魚肉練り製品、いくら、すじこ、たらこ、辛明太子、かずのこまで、幅広い多種多様な食品に使用した場合には、ナイシンと細菌類とが日常的に接触することになるので、耐性菌出現のおそれと頻度は飛躍的に増大する。」

ナイシン(A)は強い抗菌性を持つたんぱく質で、世界的にも乳製品への使用しか認められていないところ、わが国では、これを「穀類及びでん粉を主原料とする洋生菓子、ソース類、卵加工品、チーズ、ドレッシング、食肉製品、ホイップクリーム類、味噌及び洋菓子」 にまで使用を認めたものです。
本来食品衛生法に基づく食品一般の成分規格では、食品は、抗生物質又は化学的合成品たる抗菌性物質を含有してはならないとするのが原則です。

このことは、日常的に抗生物質を摂取し続けると、耐性菌が生じるおそれがあるためです。
残念ながらナイシンは2009年に添加物として指定されてしまいました。しかし耐性菌発生を抑えるため、使用範囲は最低限に抑えるべきものであり、漬物という日本人が日常的に摂取する伝統食品への使用基準拡大は絶対に認めることができません。特許申請者の東海漬物株式会社等から添加物指定要請もしくは使用基準拡大要請があっても、これを絶対に認めないよう要望します。
このことにつき、11月15日までに貴省の方針をご回答くださるよう、お願いします。

以上