貴省は「セルフクローニング」や「ナチュラルオカレンス」と呼ばれる遺伝子組み換え技術でつくられた食品添加物を食品としての安全審査の対象から外すとともに、セルフクローニングやナチュラルオカレンスであることの判断を事業者に任せようとしています。これは、規制緩和のために、食の安全を犠牲にする大きな問題です。このような改悪を私たちは到底、受け入れることはできません。 遺伝子組み換え食品添加物は、微生物を用いて生産されています。例えば、目的とする食品添加物が蛋白質だとすると、その蛋白質をつくり出す遺伝子を大腸菌に導入し、大腸菌を大量に培養することで、蛋白質を量産し抽出して製品化します。最終的には大腸菌は除去されるため、遺伝子組み換え体は残りません。このような組み換え体利用という方法は、トウモロコシや大豆のように組み換え体そのものを食べる食品とは区別し、安全審査が簡略化されてきました。 セルフクローニングやナチュラルオカレンスについて環境省は、遺伝子組み換え生物の環境への影響を規制した「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」では規制の対象外であるという見解を示していますが、貴省はこれまで「食品の安全性確保を通じた国民の健康のために」それらの安全性審査を行なってきたはずです。 セルフクローニングもナチュラルオカレンスも遺伝子組み換え技術を用いることには変わりがなく、組み換えによって予期しない変化が起きうることは免れません。また、微生物由来の不純物が生じ、それが予期しない毒性を発揮する危険性もあります。 セルフクローニングやナチュラルオカレンスを食品添加物の安全審査の対象から外すことは、そのような危険性を無視することになり、消費者にとって最も大切な食の安全を揺るがすことになりかねません。貴省には食品安全行政の基本姿勢を堅持し、これまで通り、慎重に一つ一つの食品添加物を評価することを強く求めます。 |