newsletter No.40

No.40

2014年3月20日

 目  次

・特集「食品表示について」
・連載/食品と法律(16)「メニュー偽装が相次ぐ理由」
・連載/やさしい「農」生物学(32)
・トピックス①TPPをめぐる状況 「実質合意」に失敗、交渉継続へ
・トピックス②景表法違反確定でも販売続行、ダイエットサプリ「夜スリムトマ美ちゃん」
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 安倍首相の「日本を取り戻す」という日本が、大日本帝国であることが誰の目にも明らかになりました。
秘密保護法制定、国家安全保障会議(日本版NSC)設置、武器輸出三原則緩和で、情報統制と軍事力強化。世界で企業が一番活躍しやすい国を作るという規制緩和で、富める者のみがさらに富み、弱者は完全に潰される世界。まさに弱肉強食・富国強兵です。政治教育・社会教育を抑圧して、学生運動と労働組合をつぶし、その結果市民運動も弱体化させられました。

TPPで日本の農業までつぶされたら、環境悪化も進みます。私たちの精神世界はまっとうな農村風景なくして成り立ちません。安倍首相は、美しい農村風景がお好きだそうですが、農業をつぶして、どこに美しい農村風景があるのでしょうか。一部の棚田などを観光資源として保全すれば済むとでも思っているのかもしれません。

しかも最近、微罪での逮捕と、逮捕時の市中引き回しのようなテレビ映像が目立ちます。被疑者は裁判で有罪と認定されるまで、無罪と推定されるのが憲法の原則です。マスコミは、秘密保護法に反対しながら、こうした憲法無視の映像を流すのでは自己矛盾です。

働けど働けど我が暮らし楽にならない社会。物言えば唇寒しの社会。デモさえテロとされるなら、仕事よこせ、コメよこせデモもテロです。もしかすると、単なる大日本帝国ではなく、太平洋戦争中の大日本帝国を取り戻したいのかもしれません。あるいは明治の日本なのかもしれません。

本来取り戻すべき日本は、戦後民主主義が生きていた時代の日本であって、そのためには日米安全保障体制の見直しから始めるべきなのに、これはそのまま、かえって強化していますから、戦後民主主義の日本は取り戻したくないのでしょう。

戦争を知らない世代ばかりの閣僚たちは、戦争や戦後の悲惨さを想像することさえできないのです。
今年成立した食品表示法に、消費者の権利という美しい言葉を取り入れながら、実際の表示基準策定では事業者の方しか見ていない体質も、企業が世界で一番活躍しやすい国家と重なります。こんな国で偽装表示などなくなるわけがありません。
しかし私たちは、あきらめず進むしかないのですね。

(神山美智子)