牛の「耳標」付け替え偽装について申し入れ

04FSCW第10号
2005年1月21日

農林水産省
農林水産大臣 島村宜伸様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
東京都新宿区早稲田町75日研ビル2階
日本消費者連盟気付

牛の「耳標」付け替え偽装について申し入れ

 昨年12月7日、北海道警は牛肉履歴管理法違反と詐欺の疑いで家畜商を逮捕していましたが、その後の道警の調べにたいして「制度発足当初から耳標を付け替えていた」などと供述していて、12月27日、具体的にそのうち1組の付け替え容疑で再逮捕されたという報道がありました。
牛肉履歴管理法は2003年12月からの施行ですが、北海道ではモデル事業として2002年2月から耳標の取り付けが始まっていたとのことです。貴省がトレーサビリティーの先端の制度として莫大な予算のもと開発されてきたこの牛肉履歴管理が、なぜこのような偽装によって破綻を起こしたのか、消費者として厳しく問い、貴省がこの事件を道警の調べにまかせるのではなく徹底して追及し制度の根本的再検討をされるよう、強く申し入れます。
つきましては、下記のような質問を致しますので、2月4日までにご回答ください。

 モデル事業においては制度の管理が、どこの責任においてどのように行われたのか。

 北海道におけるモデル事業期間中にどのような違法行為防止のための検討がなされたのか。とくに、勝手な耳標の取り外し・再装着についてはどうか。

 違法事件の発覚は昨年7月で、9月に貴省は事業者の立ち入り検査を行っているが、この時点で法施行責任省として早急な全国の耳標確認、または偽装調査が行われたのか。

 この事件により、消費者は耳標取り替えのみならず、トレーサビリティーの信頼を築く他の要素つまり牛の種別、生年月日、移動歴などの情報も巧妙な手口によって偽装されかねないとの疑惑を消しきれない。貴省が消費者の信頼維持のためになされることはなにか。

 当委員会は、この違法事件をトレーサビリティーへの警鐘とみているが、貴省は制度の見直しを検討されるのか。