newsletter No.61

No.61

2019年6月28日

 目  次

・総会記念講演会「日本がダントツで多い家畜への抗菌剤使用」薬剤耐性菌対策 家畜への使用量削減目標設定と家庭での殺菌・抗菌剤の使用削減を
・今すぐ「ゲノム編集食品はいらない」の声をあげよう
・添加物検討会傍聴記「消費者団体ヒアリングで事業所寄りの意見も飛び出す」
・第17回総会報告
・連続講座「安全に暮らしていくために」第2回報告
・連載・食品と法律(33)「時効と除斥期間」
・新運営委員自己紹介
・FSCW運営委員会報告

巻頭言

 今年の4月・5月は、穏やかでない思いの2カ月でした。政府とマスコミ主導の改元お祭り騒ぎ。あれほど大勢の人が大挙して皇居に押し掛ける光景は、驚異以外の何物でもありませんでした。5月1日は4月30 日の翌日であり、1月1日ではありません。朝日新聞の川柳に、「除夜の鐘撞きたいような4月末」というのがありました。そして「令和」という年が、大津で横断待ちしていた保育園児の集団に車が突っ込むという恐ろしい事故で始まりました。

 その後、政治パフォーマンスに過ぎないトランプ氏の大相撲観戦で、また多くの人たちが熱狂しました。兆を超える額の兵器を日本に買わせる武器商人に過ぎないトランプ氏になぜ熱狂するのでしょうか。買わされるイージスアショアの設置場所は、第二の辺野古です。

 そして5月28 日、トランプ氏が帰国するその日に、川崎で、バスを待つ小学生と付添の親の列に男性が刃物を持って突進するという、許し難い悲惨な事件が起きました。犯罪心理学の専門家は、「拡大自殺」と呼んでいますが、改元騒ぎのあだ花の底に深い闇があることをみせつけたようなものです。
 私は前号の巻頭言で、「社会全体に、目に見えない澱のような怒り・不安・不満が充満している。そのような社会の崩壊は目前に迫っている」と書きました。

 働き方改革の美名の下に労働者を切り捨てて格差と分断を生み出し、社会保障を切り捨て、賃金統計を偽装してまで景気が緩やかに拡大しているなどの嘘で塗り固めてみても、社会全体を覆う根本的な危機は隠しようもありません。  
 浜矩子氏は、政府が「経済ファンダメンタルズが健全」と言いだしたら危ないと書いています。

 私たちは太平洋戦争敗戦の後、安心して豊かに暮らせる社会を作ろうと努力してきたのではなかったでしょうか。いったい私たちは何をして、何を得たのでしょうか。悲しいですね。
 参議院選挙も間近です。選挙結果によっては、憲法の崩壊と日本農業の破壊が始まります。
 少なくともこうした状況を認めない意思表示をすることが、年寄りの義務だと思っています。

(神山美智子)