特定の機能性表示食品に係る申出に対する調査などに関する文書の不開示決定(存否応答拒否)に関する理由説明書についての意見書

 21FSCW9号
2022年2月7日

情報公開・個人情報保護審査会事務局御中

諮問番号:令和3年(行情)諮問第577号
特定の機能性表示食品に係る申出に対する調査などに関する文書の不開示決定(存否応答拒否)に関する理由説明書についての意見書

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子

消費者庁の主張
消費者庁は、審査請求人の開示請求に対して、その対象文書が存在しているか否かを答えるだけで情報開示法第5条第2号イ及び同条第6号イに掲げる各不開示情報に該当する情報を開示することになり、法第8条に該当するため、対象文書の存否を明らかにしないで請求を拒否したと主張する

以下、上記の消費者庁の主張の誤りについて意見を述べる

1,本件存否情報が法第5条第2号イに掲げる不開示情報に該当するかの判断の妥当性について
消費者庁は、今回の情報開示請求の前に、審査請求人が起こした食品表示法第12条で規定する申出がなされた事実が公になることで、本件商品に関する表示に問題があって適正でないため、一般消費者の利益が害されている状態にあるとの憶測を呼び、法第5条第2号イに定める不開示情報の規定「公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれ」に該当すると主張している。また申出を受けてからの消費者庁の調査、判断、措置に関する情報も、法第5条第2号イの不開示情報に該当すると主張する。

その点に関しては、申出をした事実が公開されても、さらに消費者庁が申出を受けてからの調査、判断、措置に関する情報が公開されても、上記のような、憶測に基づく当該法人の不利益が起こるおそれはない。
その理由は、もし消費者庁が当該商品の表示には問題はないと判断したのであればその旨を公開することで憶測は消え当該法人の損失は起こらないからである。また消費者庁が当該商品の表示に問題があると判断したのであれば、当該法人は不利益を甘受しなければならない。いずれも場合にも憶測に基づく不利益は発生しない。

また消費者庁は、審査請求人の主張を「『消費者の利益が害されている可能性』を主張するのみ」であると曲解し、法第5条第2号のただし書にある「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」という除外規定に該当することを基礎づける具体的な事情も何ら示されていないと主張する。

その点に関しては、審査請求人は単に可能性を主張しているのではない。当該商品の1本(30日分)あたりの価格は5940円で当該企業ホームページでは累計販売本数1000万本突破との情報がある。1000万本で計算しても594億円の売り上げとなる。
審査請求人が消費者庁への申出の中で記述している通り、当該商品の機能性表示の科学的根拠として当該企業が届出している臨床試験は、消費者庁自らが公表している「機能性表示食品制度での臨床試験の実態把握の検証・調査事業報告書」の中で「科学的誤りであると強調」してある手法を採用している。科学的に誤った機能性表示を是正すれば、594億円の消費者の財産の損失を防ぐ効果があることになり、法第5条第2号のただし書の除外規定に該当することを基礎づける具体的な事情となる。

2,本件存否情報が法第5条第6号イに掲げる不開示情報に該当するかの判断の妥当性について
先ず消費者庁は、食品表示法上、同法第12条に規定される申出について、申出がされた事実はもとより、その後の調査や判断過程の公表は予定されていないことを根拠に、申出を行うものは、申出を行った事実は公表されないとの信頼の下にこれを行っていると考えられ、申出がなされた事実などが公にされると、今後申出を行おうとするものが探索されることを恐れて申出をためらったりする結果、消費者庁の活動に支障をきたすと主張している。

その点に関しては、申出者が、申出をしたことを公表してほしくないと思っているという前提はすべてに当てはまることはない。今回の申出について、我々はすでに我々のホームページで公表している。なぜならば機能性表示食品制度を始める前の消費者庁の説明の中でも、この申出制度が、消費者が機能性表示の科学的妥当性について異議申し立てを行うことを担保する制度であると説明がされているからである。
今後、もし消費者庁が申出を公表されたくない人のことを考慮するのであれば、申出の書式の中に「申出の事実を公表してよい、公表しないでほしい」の二択を記入するようにすればよい。そうすれば公表されたくない申出者のためらいをなくすことができるので、消費者庁の業務に支障は起こさない。今回の申出に関しては、申出者はそもそも公表して良いと主張しているので消費者庁の活動に支障はきたさない。

さらに消費者庁は、申出をした事実が公になると、消費者庁の調査活動の遂行の事実の有無を本件事業者が察知することで、証拠の隠滅などを招くと主張している。

その点については、今回の件では、当該事業者が証拠を隠滅できる可能性は存在しない。今回の申出で指摘している問題点は、当該商品の機能性表示の科学的根拠としてすでに届出されている公開情報の妥当性についてである。すでに公開されている情報について、当該事業者は隠滅させようがないので消費者庁の業務に支障は出ない。

3,まとめ
上記のように、審査請求人が情報公開を求めている情報は、法第5条第2号の但し書きの情報に該当することが明らかであり、また法第5条第6号の規定に該当しないことが明らかである。したがって、不開示にする法的な理由はない。
そもそも、食品表示法の定める「申出制度」については、消費者庁が表示の是正指示を出した場合にその旨が公表されることでしか、申出者である消費者は結果を知ることができないということが問題である。
公正取引委員会が景品表示法を所管していた時にあった「申告制度」では、受理された申告に対しては、調査・判断・措置の結果が申告者に対して通知されていた。
消費者基本法に定める「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保」や「消費者の意見の消費者政策への反映」の基本理念に照らせば、食品表示法での「申出制度」においても、申出者に対する結果の通知を義務化することが望まれる。
しかし食品表示法で通知義務がない現状では、消費者は情報公開制度を利用することでしか、自らが出した申出の結果を知る方法が存在しない。
情報公開法に定める「政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」という目的に照らして、本件の情報開示が決定されるべきである。