人工甘味料についての申し入れ

23FSCW第7号
2023年9月12日

厚生労働大臣        加藤勝信様
消費者及び食品安全担当大臣 河野太郎様
消費者庁長官        新井ゆたか様
消費者委員会委員長様

人工甘味料についての申し入れ

食の安全・監視市民委員会
共同代表 佐野真理子 山浦康明

WHO(世界保健機関)はこのほど、ゼロカロリーなどと謳い販売されているアスパルテームなどの非砂糖甘味料(人工甘味料)について、体重を制御したり、非感染性疾患(ガン・心疾患・糖尿病など)のリスクを減らすために使用したりしないよう、勧告しました。この勧告は食品添加物のあり方について重要な改善措置を求めるものであり、私たち「食の安全・監視市民委員会」は、WHOの勧告に沿った施策展開こそ必要と考えています。
アスパルテームは1996年に食品衛生法に基づき指定された添加物で、「砂糖の200倍の甘み」「カロリーオフ」などと称して、多くの飲料などに使われてきました。今回勧告の対象となった人工甘味料には、アスパルテームの他にアセスルファムK、ネオテーム、スクラロースなども含まれています。WHOは、「健康を改善するためには、人生の早い段階から食事の甘さを完全に減らす必要がある」と指摘しています。
このアスパルテームについては7月14日、IARC(国際がん研究機関)が、発がん性グループ2Bのリストに収載することを発表しました。グループ1は「ヒトに対し発がん性がある」、グループ2Aは「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とされるもので、グループ2Bは、「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」という分類です。アスパルテームはこの「2B」に位置付けられたのです。
IARCの指摘に対し、JECFA(WHOとFAOの合同食品添加物専門会議)は、アスパルテームの1日当たり許容摂取量を体重1キロあたり40ミリグラムとしており、対応を変更する必要はないと説明しています。しかしその根拠とされる論文は、1981年に味の素社が行った実験であることが分かりました。当時はGLP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)が定められていなかったので、現在からみれば不十分・不適切な実験ではないかと考えられます。
さらに、勧告の対象に含まれているもう一つの人工甘味料、「スクラロース」についても不純物スクラロース-6-酢酸に、遺伝毒性の疑いがあることが指摘されています。最近ではアメリカノースカロライナ州立大学のSusan Schiffman氏が発がん性に関する論文を発表されています。
このように、ダイエット効果も期待できず、心疾患を防ぐ効果も期待できず、あろうことか、発がん性の恐れすら指摘されるに至っているのがこれら日常的に摂取している人工甘味料であり、もはや、それらを多用する意味はありません。
今、最も懸念されるのが、日本における研究機関の減少です。GLP基準に従った発がん性試験をできる機関はないとも聞いています
食の安全・監視市民委員会は、このような事態の改善へ向け、下記の点を申し入れます。

1. WHO及びIARCの勧告・意見を重く受け止め、すでに指定されている食品添加物について、新しい知見に基づいた再評価をすることを要望します。

2. 食生活における食事の甘さ問題に積極的に取り組んでください。

3. 発がん性試験が可能な研究機関を充実させてください。

以上

<連絡先> 食の安全・監視市民委員会
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