「食中毒事件」の二次被害発生の防止についての質問状に対する回答(広島市)

平成27年12月18日

食の安全・市民ホットライン
食の安全・監視市民委員会
代表神山美智子様

広島市健康福祉局保健部
食品保健課長安西洋一
食品指導課長舟越敦司

「食中毒事件」の二次被害発生の防止について(回答)

平成27年11月24日付けで御送付いただきました質問書について、下記のとおり回答いたします。

Q1:原因となった施設は、なぜ広島市の営業自粛要請を無視して飲食部門の営業を継続したのでしょうか。また、それに対して広島市はどのような対応を講じたのでしょうか。
A:本件食中毒事件による発症者の共通食は、原因となった施設以外にも、複数の食事がありました。こうした場合は、喫食者の疫学調査(発症状況等の調査)や施設調査の結果から、原因施設を判断する必要がありますが、11月12日の時点では、これらの調査結果は出ていませんでした。しかし、同日、本市の調査で当該施設の従事者に体調不良者がいることを確認し、当該施設が原因施設である可能性があったことから、被害拡大の防止を目的に、飲食部門の営業自粛を求めました。これは、原因施設として断定出来ていない時点で行った、強制力の伴わない行政指導であり、指導に従うか否かは営業者の判断となるため、本市としては、これ以上の対応を取ることは出来ませんでした。その後、翌13日に原因施設として判断するに足る調査結果が得られたため、当該施設が原因の食中毒事件であると断定し、直ちに営業禁止処分を行いました。

Q2:2015年11月23日現在、新たに食中毒を発症した小学生など詳しい経緯が広島市の公式ホームページに掲載されていないのはなぜでしょうか。
A:食中毒事件の公表については、食品衛生法第63条の規定に基づき、食品衛生上の危害の発生を防止するため、法違反者の名称等を報道機関に情報提供するとともに、市ホームページへの掲載を行っています。本件についても、原因施設であると断定した11月13日に市ホームページへ公表しました。なお、本市では、最初の公表後、新たに病因物質が判明するなどの場合は、食品衛生上の危害の発生を防止する観点から、必要に応じて追加公表を行うこととしています。今回はこれに該当しないと判断しました。
食品衛生法第63条(違反者の名称等の公表)
厚生労働大臣、内閣総理大臣及び都道府県知事は、食品衛生上の危害の発生を防止するため、この法律又はこの法律に基づく処分に違反した者の名称等を公表し、食品衛生上の危害の状況を明らかにするよう努めるものとする。

Q3:原因となった施設の公式ホームページ(2015年11月23日現在)には、「食中毒事件被害者」に対する謝罪などは記載されていますが、食中毒事件の詳しい経韓や広島市の営業自粛要請を無視した原因など記載されていないため、「消費者」や「事件被害者」に対する説明責任や情報公開は不十分といえますが、いかがでしょうか。
A:当該施設の事件被害者等に対する説明責任や情報公開の判断については、当該営業者の責任において行われるべきであると考えています。

Q4:広島市、原因となった施設ともに、今回の食中毒事件の問題点や二重の被害者を出さないための再発防止策が示されていませんが、なぜ再発防止策などを策定公表しないのでしょうか。
A:今回の食中毒事件は、平成27年11月9日の夕食から13日の朝食までの聞に当該施設が提供した食事が原因であると判断しています。調査を開始した11月12日以降の食事の提供を止めることが出来なかったのは、Q1でも回答したとおり、この時点で原因施設として断定出来なかったためです。このため、被害拡大防止のためには、調査開始から原因施設の断定までの時間を出来る限り短くすることが最も重要であると考えています。本市としては、今後、より積極的かつ迅速に喫食者の疫学情報を収集し、科学的な根拠を基に速やかに原因施設を断定できるよう、様々な取組を行っていきます。また、食中毒の被害者を出さないためには、予防が基本であり、本市ではこれまでも、講習会の開催やホームページなどにより食中毒の予防啓発を行っていますが、今後も、広報番組やメーノレマガジンなど、あらゆる機会を通じてより効果的な情報発信を行ってまいります。