ポカリスエットについての私たちの考え

ポカリスエットについての私たちの考え

食品添加物の専門家の中村幹雄氏が、日本弁護士連合会消費者委員会・食品安全部会の学習会で、以下の1ないし3の報告をした。

1 韓国で販売されているポカリスエットの缶には、グレープフルーツ濃縮果汁(イスラエル産)と表示されているのに、国内で販売されているものには、果汁としか表示されていない。
2 しかしグレープフルーツ果汁は、カルシウム拮抗剤(降圧剤)や、免疫抑制剤などと相互作用があり、こうした薬剤を服用している人はグレープフルーツの摂取を避けているのが通常である。
3 ところがこうした薬剤を服用している人々が、ポカリスエットにグレープフルーツ果汁が入っているとは知らずに飲んでいるかもしれない。
ポカリスエットは、果汁5%未満含有清涼飲料水で、果実飲料ではないので、表示基準及び景品表示法に基づく告示において、果実の名称を表示しなくても良い飲料であり、むしろ缶に果実の絵などをつけてはいけないことになっている。
しかし、低濃度であっても夏場など、大量摂取が一般的な清涼飲料水の中に、グレープフルーツ果汁が含まれていることは、消費者(特にカルシウム拮抗剤・免疫抑制剤を服用している消費者)の健康を守るため、知る権利、選択の権利のため、警告の意味において広く知らせるべき事実である。

そこで、食の安全・監視市民委員会は、10月23日、消費者庁・消費者委員会・製造販売元の大塚製薬に対し、グレープフルーツ果汁含有の事実を表示するよう申し入れをした。
大塚製薬は当初真摯に対応すると回答したが、大量に摂取しなければ相互作用は現れないとして、表示も、ホームページでの警告も拒否したまま今日に至っている。また消費者庁、消費者委員会とも、表示基準違反には当たらない、個別の事案には対応できないなど、紋切り型の回答しかしない。
しかし、様々な論文等により、グレープフルーツ果汁の影響は長く続く可能性があり、安全な量の設定はできないことが示されている。
私たちは、この問題を軽視する消費者庁及び大塚製薬の態度は、消費者国民の安全の権利・健康の権利を損なうものであると考える。

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子